再度ふたゝび)” の例文
思ひ絶えて仕舞ふべし、我れは浮世の能なしさるにはなるとも、きたなき男には得こそ成るまじ、夫れよと斷念の曉きよく、再度ふたゝび口にも出でず成りぬ。
暗夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
登時そのとき大岡忠相ぬし再度ふたゝび元益に向ひて云やう其方親子おやこは庄兵衞の殺されたるより其のかたきうつくれよと願ひ出たるをり武左衞門親子おやこの者はまさしく庄兵衞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
此行このこう都下に滞留すること僅に二周間に過ず、團十郎再度ふたゝび場に登らず、圓朝氏留って帰らざるを以て、遂に二氏の技芸を見聞する能わず、宝山空手の思い徒に遺憾を齎らして還る。
松の操美人の生埋:01 序 (新字新仮名) / 宇田川文海(著)
わすれんや更に貴樣は知らぬ人なりと再度ふたゝび云へば三次はあきはて嗚呼あゝよめたり長庵らうお安の一件をおれが白状せし故其惡事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
用心口ようじんぐちしてお寢間ねまもどたまひしが再度ふたゝびつてお菓子戸棚くわしとだなのびすけつとのびんとりいだし、お鼻紙はながみうへけておしひねり、雪灯ぼんぼり片手かたてゑんいづれば天井てんぜうねづみがた/\とれて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
はじ息子せがれ長三郎にもはなしたるに息子は然もこそあらんと思ひ夫婦はしきり麁忽そこつ再度ふたゝび婚姻を結んとて翌日忠兵衞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はいにしへの齋藤主計さいとうかずへむすめもどらば、くともわらふとも再度ふたゝび原田太郎はらだたらうはゝとはばるゝことるべきにもあらず、良人おつと未練みれんのこさずともあいちがたくははなれていよ/\ものをもおもふべく
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)