トップ
>
倚
>
もた
ふりがな文庫
“
倚
(
もた
)” の例文
兵卒らがその死人を
舁
(
か
)
き出して、うしろの壁に
倚
(
もた
)
せかけると、
冬瓜
(
とうが
)
のような大きい玉がその懐中から転げ出したので、驚いて更に検査すると
中国怪奇小説集:03 捜神記(六朝)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
冬でも着物のまま壁に
倚
(
もた
)
れて
坐睡
(
ざすい
)
するだけだと云った。
侍者
(
じしゃ
)
をしていた頃などは、老師の
犢鼻褌
(
ふんどし
)
まで洗わせられたと云った。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
御本家の御女中方が灰色の麻袋を首に掛けて、桑の
嫩芽
(
しんめ
)
を摘みに
御出
(
おいで
)
なさる時も、奥様は長火鉢に
倚
(
もた
)
れて、東京の新狂言の御噂さをなさいました。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
一般多くは、心の支柱を、柴田に
倚
(
もた
)
せて見、羽柴に寄せて見、毛利に寄せて見、上杉に寄せて見、徳川に寄せて見、北条に寄せて見、或いは織田遺族の信孝や信雄などに
付託
(
ふたく
)
して
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
たつた一人で過す多くの夜を、その窓に
倚
(
もた
)
れて、彼は
幾度
(
いくたび
)
か/\自分の仕事、自分の将来についていろ/\に思ひを
馳
(
はし
)
らせた。そんな時、いつも彼の心の
中
(
うち
)
には抑へきれない
憧憬
(
しようけい
)
が波うつてゐた。
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
▼ もっと見る
というのは、柱に
倚
(
もた
)
れての
御独語
(
おひとりごと
)
でした。浮気な歓楽が奥様への置土産は、たったこの
一語
(
ひとこと
)
です。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
此
(
この
)
庵
(
あん
)
を
預
(
あづ
)
かる
樣
(
やう
)
になつてから、もう二
年
(
ねん
)
になるが、まだ
本式
(
ほんしき
)
に
床
(
とこ
)
を
延
(
の
)
べて、
樂
(
らく
)
に
足
(
あし
)
を
延
(
の
)
ばして
寐
(
ね
)
た
事
(
こと
)
はないと
云
(
い
)
つた。
冬
(
ふゆ
)
でも
着物
(
きもの
)
の
儘
(
まゝ
)
壁
(
かべ
)
に
倚
(
もた
)
れて
坐睡
(
ざすゐ
)
する
丈
(
だけ
)
だと
云
(
い
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分は
口惜
(
くやし
)
くなった。なぜこんな猿の真似をするように
零落
(
おちぶ
)
れたのかと思った。倒れそうになる
身体
(
からだ
)
を、できるだけ前の方にのめらして、梯子に
倚
(
もた
)
れるだけ倚れて考えた。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
空谷子は小さな
角火鉢
(
かくひばち
)
に
倚
(
もた
)
れて、
真鍮
(
しんちゅう
)
の
火箸
(
ひばし
)
で灰の上へ、しきりに何か書いていた。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
床を敷いて寝たものだろうか、ただしは着のみ着のままで、ごろりと横になるか、または
昨夕
(
ゆうべ
)
の通り柱へ
倚
(
もた
)
れて夜を明そうか。ごろ寝は寒い、柱へ
倚
(
よ
)
り
懸
(
かか
)
るのは苦しい。どうかして
布団
(
ふとん
)
を敷きたい。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
倚
漢検1級
部首:⼈
10画
“倚”を含む語句
倚掛
偏倚
倚凭
倚子
倚懸
安樂倚子
相倚
倚添
倚木
倚水楼
偎紅倚翠
倚託
半倚
山倚
彼此相倚
狂倚
竹倚
長倚子
倚頼
倚陶軒
...