俗人ぞくじん)” の例文
この矮小わいせう若僧じやくそうは、まだ出家しゆつけをしないまへ、たゞの俗人ぞくじんとして此所こゝ修業しゆげふとき七日なのかあひだ結跏けつかしたぎりすこしもうごかなかつたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
われわれのような俗人ぞくじんが論ずるから右のようになるが、しかし非凡ひぼんなる頭脳ずのう深遠しんえんなる学識がくしきをそなえた針目博士自身としては、新しい金属の創造などということは
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
途端とたん鼻緒はなおれて、草履ぞうりをさげたまま小僧こぞうや、いしつまずいてもんどりってたおれる職人しょくにん。さては近所きんじょ生臭坊主なまぐさぼうずが、俗人ぞくじんそこのけに目尻めじりをさげていすがるていたらく。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
俗人ぞくじんをしふる功徳くどく甚深じんしん広大くわうだいにしてしかも其勢力せいりよく強盛きやうせい宏偉くわうゐなるは熊肝くまのゐ宝丹はうたん販路はんろひろきをもてらる。洞簫どうせうこゑ嚠喨りうりやうとして蘇子そしはらわたちぎりたれどつひにトテンチンツトンの上調子うはでうしあだつぽきにかず。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
其外そのほか俗人ぞくじんやま修業しゆげふてゐるひとはなし色々いろ/\いた。なか筆墨ふですみあきなをとこがゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)