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伝吉
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でんきち
其の
伝吉を
呼んで、「時に
私は
今度下野から
上州の
方へ
行くに
就て、お
前を
供に
連れて
行かうと思ふが、
面白くも
何ともない、ひどい山の中へ
行くんだが、
行くかえ」「それは
有難い、 ...
八兄哥、この三軒長屋は、右隣が魚屋の
伝吉で、左隣は蝮の銅六だ。
伝吉が
駕籠の
中で
鼻の
頭を
引ッこすってのひとり
啖呵も、
駕籠屋には
少しの
効き
目もないらしく、
駕籠の
歩みは、
依然として
緩やかだった。
吉原だといやァ、
豪勢飛びゃァがるくせに、
谷中の
病人の
知らせだと
聞いて、
馬鹿にしてやがるんだろう。
伝吉ァただの
床屋じゃねえんだぜ。