主従しゅうじゅう)” の例文
旧字:主從
この野だは、どういう了見りょうけんだか、赤シャツのうちへ朝夕出入でいりして、どこへでも随行ずいこうしてく。まるで同輩どうはいじゃない。主従しゅうじゅうみたようだ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
が、主従しゅうじゅうともに一驚いっきょうきっしたのは、其の首のない胴躯どうむくろが、一煽ひとあおり鞍にあおるとひとしく、青牛せいぎゅうあしはやく成つてさっ駈出かけだした事である。
雨ばけ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いやな顔でもされると己もきにくゝなる、うするとついには主従しゅうじゅうの隔てが出来、不和ふなかになるから、女房の良いのを貴様に持たせたいのう
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
一個ひとつ取らせて主従しゅうじゅう契約ちぎりを結びぬ
鬼桃太郎 (新字新仮名) / 尾崎紅葉(著)
物を隠すというのも畢竟ひっきょう主従しゅうじゅうというへだてがあって、己は旦那様と云われる身分だから、手前の方でも己を主人と思えば、軽卒けいそつの取扱いも出来ず
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
兄妹きょうだいのようか、従兄妹いとこのようか、それとも師弟のようか、主従しゅうじゅうのようか、小説のようか、伝奇のようか、そこは分りませんが、惚れているにゃ違いないのですから、私は、親、伯父、叔母、諸親類
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
飯島の遺書かきおきをば取る手おそしと読み下しまするに、孝助とは一旦主従しゅうじゅうちぎりを結びしなれどもかたき同士であったること、孝助の忠実にで、孝心の深きに感じ
も変らぬ主従しゅうじゅうと心得、飯島のいえを再興してくれろ、急いでけとき立てられ、養家先なる水道端の相川新五兵衞の宅へ参り、舅と共に書置を開いて見れば
親子とも助かってゝ無事に遇うてえのは、こいつア妙だねえ、何だって親子主従しゅうじゅうが死のうとして、枕橋でおとっさんが首を縊ろうとしたり、お嬢さんが巡礼になったり、重さんが身を
船へ乗ろうとすると、又重さんが首を縊ろうとしてえたから、また助けて船へ入れると、オヤお嬢さん、オヤ番頭かと云って主従しゅうじゅううというは妙な事ではないか、そこで己の考えには
何分世間の口が面倒だから暇を出すのだけれども、又縁があれば一旦主従しゅうじゅうとなったのだもの、出入の出来ないことは無いから、まあ/\気を長く、あにさんの処におとなしくしているが好い
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
左様な事を申さず早くけ、もし此の事が人の耳にりなば飯島の家に係わる大事、くわしい事は書置かきおきに有るから早くかぬか、これ孝助、一旦主従しゅうじゅうの因縁を結びし事なれば、あだは仇恩は恩
主従しゅうじゅう苦楽を共にして、斯様な処に来て、商いの買出しから、殊に男の手ですゝぎ洗濯までもしてくれるので有難い、手前がいなければ小左衞門は実に困るのだ、誠に忝けない、家来とは思わない
梅「其様そんな事は云わんでも知れて居る、斬る程の罪を犯し、斬るべきところを助け、永の暇と云っていさゝか手当をいたして暇をつかわす、是が主従しゅうじゅうの情というもので、云うに云われん処が有るのじゃ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)