トップ
>
不束者
>
ふつつかもの
ふりがな文庫
“
不束者
(
ふつつかもの
)” の例文
女は韻の深い声で、低頭しながら云った、「
不束者
(
ふつつかもの
)
のわたくし、お慈悲に甘えてお世話さまになりまする、どうぞよろしゅう……」
嫁取り二代記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「何ぞ不調法でもいたしましたか、誠に行届きません
不束者
(
ふつつかもの
)
、お気に入りませぬ事がございましたら、そうおっしゃって、どうぞ御勘弁下さいまし。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
末娘のきよ子が、年が改まると
二十
(
はたち
)
になる。
不束者
(
ふつつかもの
)
だが、おひとを見込んでの相談がある。どうか聟になってやってはくれまいか。そういうのであった。
聟
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「手前滝沢
清左衛門
(
せいざえもん
)
、
不束者
(
ふつつかもの
)
にござりまするが
何卒
(
なにとぞ
)
今後お見知り置かれ、別してご懇意にあずかりたく……」
戯作者
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
起居
(
たちい
)
もしとやかで、
挨拶
(
あいさつ
)
も
沈着
(
おちつ
)
いた様子のよい子だから、そなたたちも無作法なことをして
不束者
(
ふつつかもの
)
、田舎者と笑われぬようによく気をつけるがよいと言われた。
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
▼ もっと見る
「番頭と申すのは名ばかりで、まだ
昨日
(
きのう
)
きょうの
不束者
(
ふつつかもの
)
でございます。この後も何分よろしく願います」
半七捕物帳:50 正雪の絵馬
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
是非
(
ぜひ
)
一度
(
いちど
)
お
目通
(
めどお
)
りを
願
(
ねが
)
わずには
居
(
い
)
られなくなりました、
一向
(
いっこう
)
何事
(
なにごと
)
も
弁
(
わきま
)
えぬ
不束者
(
ふつつかもの
)
でございますが、これからは
末長
(
すえなが
)
くお
教
(
おし
)
えを
受
(
う
)
けさせて
戴
(
いただ
)
きとう
存
(
ぞん
)
じまする……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
ははは、いや、どうにもならんというよりは、あんな
不束者
(
ふつつかもの
)
がお眼に留まって、お側へとのお声がかかり、おれはほんとうに光栄だと思っている。ありがたいと思っている。
稲生播磨守
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
狭山さん、私は今更お礼を言ふと云ふのも、異な者だけれど、貴方は長い月日の間、私のやうなこんな
不束者
(
ふつつかもの
)
の
我儘者
(
わがままもの
)
を、能くも
愛相
(
あいそ
)
を尽かさずに、深切に、世話をして下すつた。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
不束者
(
ふつつかもの
)
でございますが、お世話になります以上は、一生をかけたいと存じます。それにつきましては、一通りの御殿勤めも致しとうござりますゆえ、一二年、御部屋様付にて、見習を
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「わたくしのような
不束者
(
ふつつかもの
)
を本当にもしお目かけ下さるならば、愛のしるしに、いえ、あの誓いの御しるしに、わたくしのわがままおきき届け願いとうござります。そしたらあの……」
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「
伴
(
つ
)
れ参りましたが、
不束者
(
ふつつかもの
)
、わざと控えさせておきました」
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
不束者
(
ふつつかもの
)
でございますけれど……。」
幻の彼方
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
然しその唇は感動を耐えるために
痙攣
(
ひきつ
)
っていた、「わたくしこそ、
不束者
(
ふつつかもの
)
で、色々と旦那さまの足手
纒
(
まと
)
いにばかりなっておりました、どうぞお
赦
(
ゆる
)
しあそばして……」
松風の門
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「はい、妾こそ、どうぞよろしく……あの田舎者で……
不束者
(
ふつつかもの
)
で……」浜路ロクロク物さえ云えない。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
何
(
なに
)
しろ
竜宮界
(
りゅうぐうかい
)
の
初上
(
はつのぼ
)
り、
何一
(
なにひと
)
つ
弁
(
わきま
)
えてもいない
不束者
(
ふつつかもの
)
のことでございますから、
随分
(
ずいぶん
)
つまらぬ
事
(
こと
)
も
申上
(
もうしあ
)
げ、あちらではさぞ
笑止
(
しょうし
)
に
思召
(
おぼしめ
)
されたことでございましたろう。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「妹もなにぶん
不束者
(
ふつつかもの
)
でございますから、この末ともによろしくお願い申します」
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
『納戸頭、奥田孫太夫と申す
不束者
(
ふつつかもの
)
にござります』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あの、わたくしに、このような
不束者
(
ふつつかもの
)
のわたくしにでもお目かけ下さるお方がござりますなら、早くその方にめぐり合うよう、日光様へ願懸けに行っておじゃと、母様からのお言いつけでござりましたゆえ、じいやと二人して参ったのでござります」
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「これは千之助の姉で
小房
(
こふさ
)
と申す
不束者
(
ふつつかもの
)
、お見知り置き願い度い」
おもかげ抄
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
不
常用漢字
小4
部首:⼀
4画
束
常用漢字
小4
部首:⽊
7画
者
常用漢字
小3
部首:⽼
8画
“不束”で始まる語句
不束
不束之筋有之