三晩みばん)” の例文
「ではだれでも三晩みばんあいだわたくしをお部屋の外へ出さないように、寝ずの番をして見せる人がありましたら、その方のお嫁になりましょう。」
ぶくぶく長々火の目小僧 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
もっと白姥しろうばの家に三晩みばん寝ました。その内も、娘は外へ出ては帰って来て、膝枕ひざまくらをさせて、始終たかって来る馬蠅うまばえを、払ってくれたのを、現にくるしみながら覚えています。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なんでもくなったこの子のおかあさんが、この子のうんがいいようになにかいい名前なまえをつけようと、三日みっか三晩みばんかんがえぬいて、病気びょうきになって、いよいよ目をつぶるというときに、かすかなこえ
長い名 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
私も一生懸命に三晩みばん寝ないで夜延をして、お酒を三合買って、鮭のせんばいで飲ませてやった時お前は嬉しがって、其の時何と云ったい、持つべきものは女房だと云って喜んだ事を忘れたかい
刻限こくげんといひ、みゝづくのまどをのぞくのから、飛移とびうつるあとをためて、天井てんじやうすみへトン、トコ、トン、トコ、トン——三晩みばんめは、むすめ家内かない三人さんにんなほつていたのである。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それつゝかけに夜昼よるひるかけて此処こゝまでたなら、まだ/\仕事しごと手前てまへやまにもみづにも言訳いひわけがあるのに……彼方あつち二晩ふたばん此方こつち三晩みばんとまとまりの道草みちくさで、——はなにはくれなゐつきにはしろく、処々ところ/″\温泉をんせん
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
三晩みばんばかり続いたよ。田地田畠でんじでんばた持込もちこみで養子が来たんです。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さら人間にんげん別條べつでうはない。しかし、おなじこと三晩みばんつゞいた。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)