三十路みそぢ)” の例文
診察しんさつせし窒扶斯患者ちぶすくわんじや感染かんぜんして、しや三十路みそぢにたらぬわかざかりを北海道ほくかいだうつちしぬ、かぜ便たよりにこれをきしおそのこヽろ
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ここの別当橋立寺とかねて聞けるはこれにやと思いつつ音ない驚かせば、三十路みそぢあまりの女の髪は銀杏返いちょうがえしというに結び、指には洋銀の戒指ゆびわして
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
一番には、上﨟じやうらふの御方一の台の局、前の大納言殿御娘、御年は三十路みそぢあまり給へども、御かたちすぐれ優にやさしくおはしければ、未だ二十ばかりにぞ見え給ふ。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
三十路みそぢえても、やつれても、いまそのうつくしさ。片田舍かたゐなか虎杖いたどりになぞにあるひととはおもはれません。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
引開ひきあけて直しける雪踏せつた鼻緒はなをいとふとき心を隱す元益が出てしづ/\進み入に店の者等は之を見ればとし三十路みそぢたらざれど人品じんぴん骨柄こつがらいやしからず黒羽二重くろはぶたへに丸の中に桔梗ききやうもんつきたる羽織はおり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いつまでか貧しき我ぞ三十路みそぢ経ていまだ泣かすかこの生みの親を
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
三十路みそぢの友のひとりみかな
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
三十路みそぢを越えしをみなにも
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
さては三十路みそぢの更け行けど
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
あはれと思へ、三十路みそぢへて
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)