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一構
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ひとかまえ
ふりがな文庫
“
一構
(
ひとかまえ
)” の例文
場所柄からこれは植木屋かとも思われて、
摺鉢
(
すりばち
)
を伏せた栗の門柱に引違いの戸を建て、新樹の茂りに家の屋根も外からは見えない奥深い
一構
(
ひとかまえ
)
がある。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
この煉瓦の塀を
回
(
めぐ
)
らした
一構
(
ひとかまえ
)
は病院であった。そうして中尉の妻君はこの病院の一室に寝ていたのである。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その事が後に分ります。……この
一構
(
ひとかまえ
)
は、村の庄屋で。……端近へは姿も見えぬ、奥深い床の間と、あの砂浜の井戸端と、花は別れて咲きました。が、いずれ
菖蒲
(
あやめ
)
、
杜若
(
かきつばた
)
。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一構
(
ひとかまえ
)
の百姓家は牧場になっていた。牛の牧場なんてそれまで見た事もない私だった。
旧聞日本橋:12 チンコッきり
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
一構
(
ひとかまえ
)
鞦
(
しりがい
)
つくる窓のはな 兆
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
▼ もっと見る
わたくしはかつてそれらの中の
一構
(
ひとかまえ
)
が、有名な料理屋田川屋の跡だとかいうはなしを聞いたことがあった。『たけくらべ』に描かれている
竜華寺
(
りゅうげじ
)
という寺。
里の今昔
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
これが
那古井
(
なこい
)
の地勢である。温泉場は岡の
麓
(
ふもと
)
を出来るだけ
崖
(
がけ
)
へさしかけて、
岨
(
そば
)
の景色を半分庭へ囲い込んだ
一構
(
ひとかまえ
)
であるから、前面は二階でも、後ろは
平屋
(
ひらや
)
になる。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
畑
(
はた
)
一つ
前途
(
ゆくて
)
を仕切って、縦に幅広く水気が立って、小高い
礎
(
いしずえ
)
を
朦朧
(
もうろう
)
と上に浮かしたのは、森の
下闇
(
したやみ
)
で、靄が
余所
(
よそ
)
よりも
判然
(
はっきり
)
と濃くかかったせいで、鶴谷が別宅のその黒門の
一構
(
ひとかまえ
)
。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
待乳山
(
まっちやま
)
を背にして
今戸橋
(
いまどばし
)
のたもと、竹屋の渡しを、
山谷堀
(
さんやぼり
)
をへだてたとなりにして、
墨堤
(
ぼくてい
)
の
言問
(
こととい
)
を、
三囲
(
みめぐり
)
神社の鳥居の頭を、向岸に見わたす広い
一構
(
ひとかまえ
)
が、評判の
旗亭
(
きてい
)
有明楼であった。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
本式の橋が去年の
出水
(
でみず
)
で押し流されたまままだ出来上らないのを、老人はさも会社の怠慢ででもあるように
罵
(
ののし
)
った後で、海へ注ぐ河の出口に、新らしく作られた
一構
(
ひとかまえ
)
の家を
指
(
さ
)
して
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
白山の
家
(
うち
)
を出て、入費のかからない点、
屈竟
(
くっきょう
)
ばかりでなく、間近な
遊山
(
ゆさん
)
といってもいい、植物園へ行って、あれから戸崎町の有名な
豆府地蔵
(
とうふじぞう
)
へ参ろうと、
御殿町
(
ごてんまち
)
へ上ると、樹林
一構
(
ひとかまえ
)
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
三丁ほど
上
(
のぼ
)
ると、向うに白壁の
一構
(
ひとかまえ
)
が見える。
蜜柑
(
みかん
)
のなかの
住居
(
すまい
)
だなと思う。道は間もなく二筋に切れる。白壁を横に見て左りへ折れる時、振り返ったら、下から赤い
腰巻
(
こしまき
)
をした娘が
上
(
あが
)
ってくる。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そこは砂浜から一間の高さに、石垣を規則正しく積み上げた
一構
(
ひとかまえ
)
で、庭から浜へじかに通えるためでしょう、石垣の
端
(
はじ
)
には階段が
筋違
(
すじかい
)
に庭先まで
刻
(
きざ
)
み上げてありました。私はその石段を上りました。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
格子先
(
こうしさき
)
の
電鈴
(
ベル
)
に手が届かないくらいの
一構
(
ひとかまえ
)
であった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
構
常用漢字
小5
部首:⽊
14画
“一”で始まる語句
一
一人
一寸
一言
一時
一昨日
一日
一度
一所
一瞥