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どツ
此の
折から
聞えはじめたのは
哄といふ
山彦に
伝はる
響、
丁度山の
奥に
風が
渦巻いて
其処から
吹起る
穴があいたやうに
感じられる。
真中に
先づ
鰐鮫が
口をあいたやうな
尖のとがつた
黒い
大巌が
突出て
居ると、
上から
流れて
来る
颯と
瀬の
早い
谷川が、
之に
当つて
両に
岐れて、
凡そ四
丈ばかりの
瀧になつて
哄と
落ちて
「
君、
此の
頃躰は何うかね。」と
暫くして私はまた友に
訊ねた。私
達は
會ふと
必ず
孰ちか
先に
此の事を
訊く。