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どくしや
從つて、
洲崎だの、
仲町だの、
諸入費の
懸かる
場所へは、
強ひて
御案内申さないから、
讀者は
安心をなすつてよい。
元來浪といふから
讀者は
直に
風で
起される
波を
想像せられるかも
知れないが、
寧ろ
潮の
差引といふ
方が
實際に
近い。
読者よ、かくの
如きは
湖の
宮殿に
至る
階の一
段に
過ぎない。
其の
片扉にして、
写し
得たる一
景さへこれである。
読者知るや、
弴さんと
芥川(
故……あゝ、
面影が
目に
見える)さんが、
然も
今年五
月、
東北を
旅した
時、
海を
渡つて、
函館の
貧しい
洋食店で、
弴さんが、オムレツを
啣んで、あゝ、うまい、と
嘆じ