“いたく”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
依托21.1%
遺託15.8%
委托15.8%
委託15.8%
依託10.5%
10.5%
5.3%
板来5.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
よし天才に秀でた作があっても、未来の工藝をかかる天才にのみ依托いたくしてよいか。民衆との結合なくして工藝があり得るであろうか。偉大な古作品は天才の作であるか。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
「用事と云って、ほかではありませんが、いつか貴女あなたにお預けして置いたあの白金プラチナの時計を、返していたゞきたいと思うのです。死んだ青木君から遺託いたくを受けたあの時計をです。」
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
縁はなもので、ゴルドン伝を書いた翌々年「寄生木やどりぎ」の主人公から突然「寄生木」著作の事を委托いたくされた。恩人たる乃木将軍の為めにと云う彼のであった。余は例に無く乗地のりじになって引受けた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
いや、その点で私はお兄さんの、委託いたくに背いてしまったのです。取返しの付かないことをしてしまったのです。が、その代り、私は貴君あなたを何うかして、救いたいと思ったのです。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
念仏または題目の力で苦艱くかんすくってやったというのとあるが、いずれにしても満足に依託いたくを果した場合には、非常に礼を言って十分な報謝をしたことになっている。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ある若き牧牛人蛇山オツエザールの辺に狩りし、友におくれてひとり行く、途上美しき処女が路を失うていたくなげくにい、自分の馬に同乗させてその示す方へ送り往く内、象牙の英語で相惚アイボレーと来た。
綾子はおとがいを襟にうずめぬ。みがかぬ玉にあか着きて、清き襟脚くもりを帯び、憂悶ゆうもんせる心の風雨に、えんなる姿の花しぼみて、びんの毛頬に乱懸みだれかかり、おもかげいたくやつれたり。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
などは『常陸国風土記ひたちのくにふどき』には板来いたく、つまり今の潮来いたこの歌として少し句をかえて伝えられていて、諸国へちらばっていた歌謡だったことが分るが、大体はつくられた歌である。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)