見廻みまは)” の例文
みなさん!』とつてあいちやんは、つゞけやうとして氣遣きづかはしげにまはりを見廻みまはし、『さア、これで解散かいさんしやうぢやありませんか!』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
かれなにかにだまされたあとのやうに空洞からりとした周圍しうゐをぐるりと見廻みまはさないわけにはいかなかつた。かれ沿岸えんがん洪水後こうずゐじ變化へんくわ驚愕おどろきみはつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
『あゝ、柳川やながはさん、わたくしは、貴方あなた此世このよ御目おめからうとは——。』とつたまゝ、そのうるはしきかほわたくし身邊しんぺん見廻みまはした。
松男君が黙つてゐるので、水野さんは、グルツとになつてゐる四十人ばかりの子供たちを見廻みまはして、かうききました。
原つぱの子供会 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
すはくたびれたと見えて、枡の仕切しきりこしを掛けて、場内じようない見廻みまはし始めた。其時三四郎はあきらかに野々宮さんの広いひたいと大きなを認める事が出来できた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
見廻みまはつひはなしに身がいり大分だいぶんふけたり嘸々さぞ/\草臥くたびれしならん今夜は寛々ゆる/\と休むがよしと漸々盃盞さかづきをさめ女どもに云付て寢床ねどこ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「坊や! 坊や!」とを覚したおツ母さんは、きよろ/\其所そこらを見廻みまはしましたが坊やは何所どこにも居ませんでした。
熊と猪 (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
そのうちに、お百姓ひやくしやうには見廻みまはりにました。今度こんどあをかきつたしたまして、こゑけました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
それからのこりの斷面貝層だんめんかひそう(一丈餘じやうよ)三ぱうくまなく見廻みまはつたが、何處どこに一ぺん土器破片どきはへん其他そのた見出みいださなかつた。
しかし、みんなやつてるな‥‥と、つづいて周圍しうゐ見廻みまはしたときわたし夜行軍やかうぐん可笑をかしさとみじめさをかんじてつぶやいた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
こほ手先てさき提燈ちやうちんあたゝめてホツと一息ひといきちからなく四邊あたり見廻みまはまた一息ひといき此處こゝくるまおろしてより三度目さんどめときかね
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
闇と沈默の中を二歩三歩歩み來るや突如見廻みまはりの咽喉は鐵の如き頑強な掴扼をもつて締め上げられた。かくて
無法な火葬 (旧字旧仮名) / 小泉八雲(著)
ばあさんは、今日けふもうれしさうにはたけ見廻みまはして甘味うまさうにじゆくしたおほきいやつを一つ、庖丁ほうてうでちよんり、さて、さも大事だいじさうにそれをかゝえてかえつてきました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
わしたのまれましたけに、ちよく/\見廻みまはりにめえりますだ。ようがあるなら、言着いひつけてくらつせえましよ。』
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたし戸外そとみゝそばだて、それからすこくびをもたげてしづかな部屋へやなか見廻みまはしながら、自問自答じもんじたふをした。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
ザラの見廻みまはり同心より、この一介の岡つ引の方が、江戸の町人達の間に顏が賣れてゐたのです。
その家へ越して来たのは、それから一週間しうかんもしてからだつた。私はその家が自分じぶんの家になつてから、初めて良く家の中を見廻みまはした。すると、私はきふに、「いやだ。」と思つた。
美しい家 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
〔ヱヴェレストはおもつたよりとほいな〕と独言ひとりごとしながら四辺あたり見廻みまはすと、うすひかりうつくしくあやしくみなぎつて、夕暮ゆふぐれちかくなつたのだらう。下界したても、くもきりでまるでうみのやうだ。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
或人あるひと義母おつかさん脊後うしろからその脊中せなかをトンとたゝいて『義母おつかさん!』とさけんだら『オヽ』とおどろいて四邊あたりをきよろ/\見廻みまはしてはじめて自分じぶん汽車きしやなかること、旅行りよかうしつゝあることにくだらう。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
村のうちを夜警の人たちが見廻みまはつてるだけで、風もない暗い夜です。
エミリアンの旅 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
鶴は驚いたやうなつきでそこらを見廻みまはしました。
竜宮の犬 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
へえへえ何処どこウ……(彼方あちら此方こちら見廻みまはす)女
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
あいちやんは洋卓テーブル周圍しうゐのこらず見廻みまはしましたが、其上そのうへにはちやほかなにもありませんでした。『さけくッてよ』とあいちやんが注意ちういしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
さても忠八はお花夫婦に問掛とひかけられ何とか云て宜からんと一人胸を苦めしが何時迄か包み隱さんと心を定め四邊あたり見廻みまはし聲を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
宗助そうすけはそれから懷手ふところでをして、玄關げんくわんだのもんあたり見廻みまはつたが、何處どこにも平常へいじやうことなるてんみとめられなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
旦那だんな御新造ごしんぞくおれいを申ていととゝさんがひましたと、子細しさいらねばよろこかほつらや、まづ/\つてくだされ、すこようもあればときて内外うちと見廻みまはせば
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
百姓ひやくしやうには見廻みまはりにまして、あかかきおほきなざるれてつてつてしまひました。そのえだたかうへはうには、たつた一つだけかきあかいのがのこつてました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
黒いふんどしの子供たちはブルツと顔を手でなでて、まぶしさうにプールを見廻みまはしました。
プールと犬 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
勘次かんじはそれを大事だいじふところれた。惡事あくじ發覺はつかくでもおそれるやうな容子ようすかれ周圍あたり見廻みまはした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
この目醒めざましき光景くわうけい見廻みまはしつゝ、春枝夫人はるえふじんとくさ/″\の物語ものがたりをしてつたが、此時このとき不意ふいにだ、じつ不意ふいわたくし背部うしろで、『や、や、や、しまつたゾ。』と一度いちどさけ水夫すゐふこゑ同時どうじものあり
そして彼はあたりに立つてる見物人を見廻みまはしました。
シャボン玉 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
うして、四へんをきよろ/\見廻みまはしながら。
『どうだ、なんとも言葉ことばないだらう』とつて王樣わうさまは、微笑ほゝゑみながら法廷はふてい見廻みまはされました。法廷はふていしんとしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
うかゞふにあかりの氣も見えず能々よく/\見るに表の戸に貸店かしだないふ紙札かみふだ貼付はりつけある故是は門違かどちがひせしかと四邊あたり見廻みまはすに間違ひにもあらず吾助は何分不審ふしんはれねば直樣すぐさま家主方を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
縁側から座敷ざしき見廻みまはすと、しんと静かである。茶のは無論、台所にも人はゐない様である。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「静かに!」と先生はさえぎつて置いてから、みんなを見廻みまはして、かうきました。
仔猫の裁判 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
女子をなごはあたりを見廻みまはしてたかわらひぬ、其身そのみかげかへりみてたかわらひぬ、殿との我良人わがをつと我子わがこ、これや何者なにものとてたかわらひぬ、まへ散亂ちりみだれたるふみをあげて、やよ殿とのいまわかれまゐらするなりとて
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「そんぢやだれだんべ、せんな」女房にようばうつたまゝどう見廻みまはして嫣然にこりとしていつた。それでもしばらくはすべてがくちつぐんでた。巫女くせよせばあさんははこつゝんだ荷物にもつそのまゝ自分じぶんひざきつけてつてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
彼所あすこ此所こゝに席を立つものがある。花道はなみちから出口でぐちへ掛けて、ひとかげすこぶいそがしい。三四郎は中腰ちうごしになつて、四方しほうをぐるりと見廻みまはした。てゐるはづひと何処どこにも見えない。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さう云つて、槇君はみんなの顔を見廻みまはしました。みんな熱心に聞いてゐます。
掃除当番 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
かれは今此書物のなかに、茫然としてすはつた。やゝあつて、これほど寐入ねいつた自分の意識を強烈にするには、もう少し周囲の物をうかしなければならぬと、思ひながら、へやなかをぐる/\見廻みまはした。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)