せつ)” の例文
公爵夫人こうしやくふじんそのだいせつうたも、えず赤子あかごひどゆすげたりゆすおろしたりしたものですから、可哀相かあいさうちひさなのがさけぶので
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
ここに演じまするは、当興行第一の呼び物、摩訶まか不思議の大魔術、座長欧米漫遊のせつ習い覚えましたる、美人解体術でございます。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
嘉永版かえいばんの『東都遊覧年中行事とうとゆうらんねんちゅうぎょうじ』にも、『六月朔日ついたち賜氷しひょうせつ御祝儀ごしゅうぎ、加州侯より氷献上、おあまりを町家ちょうかに下さる』と見えている。
顎十郎捕物帳:08 氷献上 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
折々をり/\には會計係くわいけいがゝり小娘こむすめの、かれあいしてゐたところのマアシヤは、せつかれ微笑びせうしてあたまでもでやうとすると、いそいで遁出にげだす。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
留守るすのこしいよ/\天一坊樣御出張のせつは斯樣々々と紅屋庄藏大和屋三郎兵衞の兩人に萬端頼み置き常樂院には大坂を發足し道を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
せつ目の終わりになったとき、背広せびろを着て、ラシャのぼうしをかぶった男が目にはいった。その男はわたしのほうへ歩いて来るらしかった。
第三 さけちや菓子かしるゐ食時しよくじせつ少々せう/\もちゐて飮食いんしよく消化せうくわたすくるはがいなしといへども、その時限じげんほか退屈たいくつときもちゆとうがいあること
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
これは偶然ぐうぜんせう寫眞術しやしんじゆつ」の沿革史えんかくしの一せつにも書いてあることだつたが、うちで寫眞しやしんうつすといふと、いつもその上寫眞館しやしんくわんへ出かけたもので
「いや若様わかさま、雷がまいりましたせつ手前てまえ一身いっしんにおんわざわいをちょうだいいたします。どうかご安心あんしんをねがいとうぞんじます」
シグナルとシグナレス (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
仕方しかたがないから、なほ三四くわい書面しよめん徃復わうふくかさねてたが、結果けつくわはいつもおなことで、版行はんかうしたやういづ御面會ごめんくわいせつかへしてだけであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
顔に小じわは寄つて居るが、色の白い、目の晴やかに大きい、伯爵夫人と言つても好い程のひんのある女である。博士も何か謡曲の一せつうたはれた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「いや、もう行かなければならないのですけれども、丁度、今、せつがわるくて、馬車が御座いませんものですから……」
(新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
ふるとしといふのは、新年しんねんたいする舊年きゆうねんであつて、むかしこよみではとしけないうちに、立春りつしゆんせつといふこよみうへ時期じきがやつてることもあつたのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
「なおまた故人の所持したる書籍は遺骸と共に焼き棄て候えども、万一貴下より御貸与ごたいよの書籍もそのうちにまじり居り候せつ不悪あしからず御赦おゆるし下されたくそうろう。」
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
乳首はくろずみ、下腹部は歴然と膨らみ、このせつではもう胎動をさえ感ずるようになった。婦人科医の診断もうけたが紛れもなく姙娠しているのだった。
三人の双生児 (新字新仮名) / 海野十三(著)
過日絮談じょだんの折にお話したごとく某々氏瓢酒ひょうしゅ野蔬やそ春郊しゅんこう漫歩まんぽの半日をたのしもうと好晴の日に出掛でかける、貴居ききょはすでに都外故そのせつたずねしてご誘引ゆういんする
野道 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
このことが、もし庶民に判りましたせつは、天一坊を御城内へ入れましたことよりも、人心には危機が参りまする。
大岡越前の独立 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
「成政の心中としては、一にただ旧主の御恩と、義を守って、あくまでせつとおしたいとしたものもござりまして」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これより先良三は、優善が山田椿庭ちんていの塾にったのとほとんど同時に、伊沢柏軒の塾にって、柏軒にその才の雋鋭しゅんえいなるを認められ、せつを折って書を読んだ。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
これひさしうして景公けいこう使者ししや(二〇)せつしてゆるす。((使者))せて軍中ぐんちうる。穰苴じやうしよいはく、『しやうぐんれば、きみれいけざるところあり』
「このせつはほんとうにさっぱりした作りが流行はやるんだかっねい。」と、そのてれかくしをかばうふうであった。
落穂 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
私よりおくわしいと存じますが、浅草の観世音に、旧、九月九日、大抵十月の中旬なかば過ぎになりますが、その重陽ちょうようせつ、菊の日に、菊供養というのがあります。
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ここにかかげたのはそのうちの一せつです。だい二に、十あまりの戯曲ぎきょくがあり、そのなかで、フランス革命かくめいについてのものと信仰しんこうについてのものとが、おもなものです。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
みぎ次第しだいにて大陰暦たいゝんれき春夏秋冬しゆんかしうとうせつかゝはらず、一年の日數ひかずさだむるものなれば去年きよねん何月何日なんぐわつなんにちと、今年ことし其日そのひとはたゞとなへのみ同樣どうやうなれども四季しきせつかなら相違さうゐせり。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
高田の俳友はいいう楓石子ふうせきしよりの書翰しよかんに(天保五年の仲冬)雪竿を見れば当地の雪此せつ一丈にあまれりといひきたれり。
勝手から化粧の間の戸を明けると電灯がぱっとく、毎晩の気違いじみた便所通いに黙っていられなくなってせつマリ子が、からだを夜具から半身起していうのだ。
この事は一度郷土研究の中にも説いたことがあるが、関西の十夜関東のトオカンヤ(十日夜)は、すなわち下元かげんせつのことで、起原はまさしく亥の子と一つである。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
翌日よくじつ牛込改代町うしごめかいたいちやうたふさふらふせつは、ぜに貫文くわんもん海苔鮨のりずしぼんそれより午過ひるすぎ下谷上野町したやうへのまちたふさふらふせつたゞきう
行倒の商売 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
すなはこれ實行じつかうせんとすれば現在げんざい國民こくみん消費せうひ相當さうたう程度ていど節約せつやくせしむるよりほかにないのである。くしてはじめ冗費じようひせつ無駄むだはぶかしむることが出來できるのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
「しからば、何か。こうまでせつを屈して頼んでも、金は出せぬ、三十両用だてならぬと申すのだな?」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
このせつわが国では坊主の数が沢山あるから仏法が盛んであるといって大いによろこんで居るがどうだろう。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
臧文仲ぞうぶんちゅうは、諸侯でもないのに、国の吉兆を占うさいをもっている。しかもそれを置くせつには山の形を刻み、せつには水草の模様を描いているが、それは天子の廟の装飾だ。
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
「ではおせんにゃ、ちゃんとした情人いろがあって、このせつじゃ毎日まいにち、そこへかよめだというんだね」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
じょうさまは、まどのところへあゆると、はるかに建物たてものあたまをきれいにならべているまちほうをごらんになりました。そして、自分じぶんでも、そのうたの一せつくちずさみなさいました。
谷にうたう女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
既にして慨然がいぜんとして天下を以て自らにんじ、せつくつして書を讀み、遂に復古ふくこの大げふを成せり。
姉のおせつは外出した時で、妹のおえいはうきを手にしながら散乱ちらかつた部屋の内を掃いて居た。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「このせつこツたから………。」おとよはふと気がついたやうに茶棚ちやだなから菓子鉢くわしばちを出して
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
カピ長 はて、ちがひにもなるわさ。ひるよるも、せつも、念々刻々ねん/\こく/\はたらいてゐよが、あそんでゐよが、たゞ一人ひとりゐよが、多勢おほぜいともにゐよが、むすめめが縁邊えんぺん苦勞くらうにせなんだときい。
年若き教師の、詩読む心にて記憶のページひるがえしつつある間に、翁が上にはさらに悲しきこと起こりつ、すでにこの世の人ならざりしなり。かくて教師の詩はその最後の一せつきたり。
源おじ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
その心祝ひに呼んだ同僚や朋輩ほうばい、七、八人の取持ちにつれて行つた娘のおせつ、十八になつたばかりの、目出度くも可愛らしいのが、凉み船に飛んで來た矢に、右の耳朶みゝたぶを射られましたが
そこで暦を見るに、彼岸は春二月のせつより十一日目にいり七日の間を彼岸という、昼夜とも長短なく、さむからず、あつからざる故時正じしょうといえり。彼岸仏参し、施しをなし、善根ぜんこんをすべしとある。
めでたき風景 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
「いまのせつでは、しかし、百花園……?」
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
せつせつとのあひだ陰影かげがある。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
せつ戦後せんごくにまつたふす
寡婦の除夜 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
かなしみせつを守りつぐ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
折々おりおりにわ会計係かいけいがかり小娘こむすめの、かれあいしていたところのマアシャは、このせつかれ微笑びしょうしてあたまでもでようとすると、いそいで遁出にげだす。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
わたしはれいのナポリ小唄こうたの第一せつをひいた。声でさとられてはいけないと思って歌は歌わなかった。わたしはひきながら、リーズのほうを見た。
日本にほん文藝的作品ぶんげいてきさくひん麻雀マアジヤンのことがかれたのはおそらく夏目漱石なつめさうせきの「滿韓まんかんところどころ」の一せつはじめてかもれない。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
ひやうに曰此護摩刀ごまたうのことは柴刀さいたうとも申よしこれは聖護院三寶院の宮樣みやさま山入やまいりせつ諸國の修驗しゆけん先供さきどもの節しば切拂きりはらひ護摩ごま場所ばしよこしらへる故に是を柴刀さいたうとも云なり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
『さァ、やつだい一のせつへた』と帽子屋ばうしやつて、『其時そのとき女王クイーンあがり、「とき打殺うちころしてるのはれだ!其頭そのあたまねてしまへ!」とさけびました』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)