)” の例文
ねえさん、わたしが、あなたやおとうさんをてて、どこへかゆくといわれるのですか。わたしは、一しょうとうさんや、あなたのそばでらします。
木と鳥になった姉妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おかあさんをてたのはやはりわたくしがわるうございました。こんどはどんなにしてもおそばについてお世話せわをいたしますから。」
姨捨山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あいちやんはたゞちにれが扇子せんすつて所爲せいだとことつていそいで其扇子そのせんすてました、あだかちゞむのをまつたおそれるものゝごとく。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
わたしは床屋とこやさんの前でかれが「なに、友だちをてる」とさけんだとき、どんな感じがしたか、ことばで語ることはできなかった。
地声を現した新九郎は、大音声と共に竹の子笠をてて、来国俊らいくにとし鯉口こいぐちを前落しに引っ掴み、ジリジリと玄蕃の前に詰め寄った。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日本人にほんじん固有こゆう風習ふうしふてゝ外國ぐわいこく慣習くわんしふにならうは如何いかにも外國ぐわいこくたいして柔順過じうじゆんすぎるといふ怪訝けげんかんおこさしむるにぎぬとおもふ。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
かききなお百姓ひやくしやう子供こどもあをかきましたが、つてべてたびしぶさうなかほをして、べかけのをてゝしまひました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
てた燐寸マツチえさしが道端みちばた枯草かれくさけて愚弄ぐろうするやうながべろ/\とひろがつても、見向みむかうともせぬほどかれものうげである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
いゝよ親方おやかたからやかましくつてたら其時そのときこと可愛想かあいさうあしいたくてあるかれないとふと朋輩ほうばい意地惡いぢわる置去おきざりにてゝつたと
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
毒をしたところだけ、きれいにさきてて、毒のない部分をさんざん食いあらしていたのです。一ぷくろうたってあいつにゃ駄目だめです。
三階の天に登り、永遠の慈悲に接せんと欲せば、下界の交際より遮断さるるにかず、国人は余をて余は霊界に受けられたり。
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
『罪造りの横笛殿、あたら勇士に世をてさせし』。あゝなかたはむれに、なか法界悋氣ほふかいりんきの此一語、横笛が耳には如何に響きしぞ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
くみまゐりし者は當時は拙者弟子なれども元は師匠ししやう天道てんだうが弟子にてかれは師匠が未だ佐渡さど淨覺院じやうがくゐんの持主たりし時門前にて有しを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おのれをつるには、そのうたがいを処するなかれ。その疑いを処すればすなわちしゃもちうるのこころざし多くず。人にほどこすにはそのほうむるなかれ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
或る人民のこのんでくらふ物を他の人民はててかへりみず、或る人民の食ふ可からずとするものを他の人民はよろこんで賞玩せうくわんするの類其れいけつして少からす。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
いえ/\これさだまる約束やくそく。……しかし、なつかしい。奥様おくさま思切おもひきり、てゝもわたしそばいのちをかけてやうとおつしやる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
科白ぜりふを残して、俺はひらりと窓に飛び乗った。岸に寄せる波はさして強くないのに、白い波頭が岸までとどかないうちに暗い沖で崩れている。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
昨秋からは追うてもてゝも戻って来る、いまだ名無しの風来ふうらいの牝犬も居る。然し愚な鈍な弱い白が、主人夫妻にはいつまでも忘られぬのである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
しかし金屬きんぞくがはひつてたからとてすぐにいままでの石器せつきこと/″\てゝ全部ぜんぶ金屬器きんぞくき使つかふようになつたのではありません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
てられる立禁たちきんふだ馘首かくしゆたいする大衆抗議たいしうこうぎ全市ぜんしゆるがすゼネストのさけび。雪崩なだれをはん×(15)のデモ。
そのあをざめたかほうへには、たけまじつたすぎむらのそらから、西日にしびひとすぢちてゐるのです。わたしはこゑみながら、死骸しがいなはてました。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「それにぼくは、きみのうちの入口のところにきみをおろすまでは、どんなことがあっても、きみをてはしないよ。」
『おきぬさんは最早もうませんよ、』とてゝばた/\とげてつた。あはれなるかな、これがぼく失戀しつれん弔詞てうじである! 失戀しつれん?、失戀しつれんいてあきれる。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
理学士の称号を貰い、三年の大学院の研究を終えて来た丘助手にとって、博士の仰有った一言は、いくら木戸博士とあおぐにしても、てになり兼ねた。
キド効果 (新字新仮名) / 海野十三(著)
宗助そうすけ一人ひとり着物きもの着換きかえたが、てた洋服やうふくも、人手ひとでりずに自分じぶんたゝんで、押入おしいれ仕舞しまつた。それから火鉢ひばちいで、かす用意よういをした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ちょうど寄辺よるべなぎさの小舟おぶねとでも言いたい無気力なこころもちにつつまれる朝夕、栄三郎は何度となく万事を棄てて仏門へでも入りたく思ったのだが。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
川崎備寛かはさきびくわん長尾克ながをこくなどの面面めんめんで、一とうとうを一まるまる、一さうさうを一たけたけといふふうび、三元牌サンウエンパイポンされたあとのこりの一まいてると、それがカンになり
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
それにえあたしゃそこらにてた、れた草鞋わらじもおんなじような、水茶屋みずぢゃや茶汲ちゃくむすめ百夜ももよみちかよったとて、おまえって、昔話むかしばなしもかなうまい。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
例の、みなさん、ご承知の「信不退しんふたい」「行不退ぎょうふたい」というものがありまして「もろもろの雑行ぞうぎょうてて」
生活と一枚の宗教 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
……ああ、今まで、私のどれいが何人も何人も、この象がりのために命をてたけれど、もうもうこれからは、そんなことをしなくても、よくなったんだねえ。
れいかつたのを今回こんくわい見出みだしたのだ。俵形ひやうけい土器どきから植物しよくぶつさがしたのは、じつである。あやう人夫にんぷてやうとしたのを、引取ひきとつて調しらべたからである。
妻子さいしてて、奮然ふんぜん学問のしなおしをやってみようかしら、そんならばたしかに人をおどろかすにたるな。やってみようか、おもしろいな奮然ふんぜんやってみようか。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
盗賊とうぞくどもははらを立てて、人形の首をきぬき、手足をもぎ取って、本堂ほんどうすみっこにてていたのです。それを見てさるは、おにの人形の中からどなりつけました。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
中には、どこかの役人やくにんのうちの入口のところに、かごに入れたままて子にされて、こごえんだのもいるし、乳母うばにそえをされながら、いきがつまって死んだ子もいる。
いひつたへでは、たいへん貧乏びんぼうくらしをしてゐて、しかも國學こくがくうたたのしみをてなかつたひとであります。このひとにも、諸平もろひら同樣どうようおなをはじめにゑてんだうたがあります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
船橋せんけううへから一心いつしん双眼鏡そうがんきやうふねけてつたが、不思議ふしぎだ、わたくし視線しせん彼方かなた視線しせんとがはしなくも衝突しようとつすると、たちま彼男かなた双眼鏡そうがんきやうをかなぐりてゝ、乾顏そしらぬかほよこいた。
人はかかる言草いいぐさを耳にせばただち栄耀えいようの餅の皮といひつべし。されど芸術を味ひ楽しむ心はもと貧富の別に関せず。深刻の情致じょうちは何事によらずかへつて富者の知らざる処なり。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
せっかく日本から買って来た山雀やまがら張子はりことらてて、みんなと一しょにボウトに乗りうつりましたが、それでもセルゲイとの約束の武者人形だけはしっかりかかえていたのです。
海からきた卵 (新字新仮名) / 塚原健二郎(著)
それは痩我慢やせがまんともばちとも思えるものだった。しかし一番底の感情は、都会っ児の彼の臆病からだった。彼は斯ういう態度を取って居なければ直ぐに滅入った気持ちに誘い込まれた。
とと屋禅譚 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
二人の大将は、その死がいを引き出して、ずたずたに切りきざんで投げてました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
しかれどもこの癖漢へきかん冷々れい/\たる苦笑くせうおこすのみなることしめし、實際家じつさいかいやしむのねんをあらはし、「でなくば生命いのちてんのみ。運命うんめい服從ふくじゆうし、百事ひやくじ放擲はうてきし」、云々しか/″\はつせしむるにいたる。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
火星くわせいではトマトのたねはたべません 種は、ていねいに出して運河うんがてます
と見る/\面色赤くなり青くなり新聞紙引裂ひきさき何処いづくともなく打付うちつけたり。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
きっとそのひとたちは見てずにいてくれると、いばっていました。
かみさんはぶつたまげてしまひました。けれど「あんなものをあげないで、よかつた」とおもひました。そしてうら竹藪たけやぶにでてみますと、てられたそのいも青々あを/\と芽をふいてゐるではありませんか。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
ちりのうきてられて
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
はたして、自分じぶんは、だったろうか。ほんとうのおかあさんは、ほかにいるのだろうか? うえで、かれはいろんな空想くうそうにふける。
高い木と子供の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「だがさし当たりわたしたちは一せんの金も、一かけのパンもなしに、パリのどぶの中にてられている……おまえおなかがすいたろう」
そこで夜更よふけにはかまわず、またさっきのしおりみちをたどって、あえぎあえぎ、おかあさんをてて山奥やまおくまでがって行きました。
姨捨山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「くわしいことは、あとで若君わかぎみからお話があろうが、きょうからわれわれは、甲州土着こうしゅうどちゃく武士ぶしという心をてることになったのだ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)