くわ)” の例文
孝二こうじは、二十せんそうとってきたのを、小泉こいずみ二人ふたりぶんにしてしました。これで、小泉こいずみもこの遊戯ゆうぎくわわることができたのです。
生きぬく力 (新字新仮名) / 小川未明(著)
これくわうるに羨望せんぼう嫉妬しっとの念をもってして、今度は政府の役人達が狙われるようになって来て、洋学者の方はおおいに楽になりました。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
しかし決して岩倉公に無礼をくわうるかんがえなく、ただえといわれたから食ったまでで、いわば至当のことをなしたに過ぎぬ。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
もうだいぶおそくなって、ひどく寒さがくわわってきた。北風がふいてつらいばんが来ようとしていた。長いあいだ、親方は石の上にすわっていた。
すなすべりのたにじつたにばるゝごとく、吾等われら最早もはや一寸いつすんうごことあたはず、くわふるに、猛獸まうじう襲撃しふげき益々ます/\はなはだしく、この鐵檻車てつおりのくるまをもあやうくせんとす。
○このたぐいの与聞(耶蘇教諸国の間につきていう)の特理は、これを至要しようの諸盟約中にくわう。これをもって一定の権力を生じたり。〈同五百十八葉〉
なまはんかな得物えものをとって、それを食いめようとするわざは、かえって、かれの鉄杖てつじょうに、いきおいをくわえるようなものだった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人類じんるい地上ちじょう発生はっせいした当初とうしょは、もっぱ自然霊しぜんれい守護霊しゅごれい役目やくめけたともうすことでございますが、時代じだいぎて、次第しだい人霊じんれいかずくわわるととも
政府はほとんど全国の兵をげ、くわうるに文明精巧せいこう兵器へいきを以てして容易よういにこれを鎮圧ちんあつするを得ず、攻城こうじょう野戦やせんおよそ八箇月、わずかに平定へいていこうそうしたれども
のこる所の二十七名は之よりすすむのみにしてかへるを得ざるもの、じつすすりて决死けつしちかひをなししと云ふてなり、すでにして日やうやたかく露亦やうやへ、かつ益渇をくわ
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
その星空をぼんやりとながめながら新吉は、曲馬団の仲間なかまくわわってからのことをいろいろと想像そうぞうしました。その想像はみんな、はなやかな、幸福なことばかりでした。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
此家こゝ町子まちこが十二のとしちゝらう低當ていたうながれにりて、れより修膳しゆぜんくわへたれども、みづながれ、やまのたゝずまい、まつがらし小高こたかこゑたゞそのむかしのまゝなりけり
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「もちろん、ここはすばらしいところです。」と、牡羊おひつじは言いました。まだなにかつけくわえて言いたいようすでしたが、なにも言わないで、ただため息をつきました。
くわうるに人智も著しく進んでおるが故に、必ずや久しく歴史的、習慣的に誤り来れる民族的偏見の一掃に勉むべく、来るべき国際連盟にはその信の十分なるべきを疑わぬ。
永久平和の先決問題 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
おおよろこびで、さっそく為朝ためとも味方みかたくわえて、みんなすぐと出陣しゅつじん用意よういにとりかかりました。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ついしつけ規範きはんの一言一句に厳密批評をくわえ、アマノジャクの言動げんどうをなさざるを得ない。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
その日から看視かんしは前にまして厳重げんじゅうくわえた、海蛇うみへびどもは急に元気おうせいになって足を早めた、湖の東岸をそって南へ南へと歩いた、だがいってもいっても人の住まいはおろか
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
それはかれふるくから病院びょういんにいるためか、まち子供等こどもらや、いぬかこまれていても、けっして何等なんらがいをもくわえぬとうことをまちひとられているためか、とにかく、かれまち名物男めいぶつおとことして
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
往々おう/\にして極めてあはれむべき悲觀ひかんおちいることあるなり、これくわふるに頑愚の迷信あり、誤謬の理論あり、惑溺の癡心あり、無憑の恐怖あり、盲目の驕慢あり、涯なき天と底なき地の間に
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
また、普通ふつう顕微鏡けんびきょうで見えないほどちいさなものでも、ある装置そうちくわえれば
手紙 三 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
西湖佳話に新しい一節をくわうることになるのだが、さすがに役人たちはそれを詩的にばかり解釈することを好まないので、それぞれに手をわけて詮議をはじめると、李はその夜ばかりでなく
女侠伝 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
余は人類をも食物中にくわへしが此事にき左にすこしく述ぶる所有らん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
船を水に浮かべてその上にこの牛をのせ、どこまで沈んだかをしるして置いて、あとでそのしるしのところまで数多い石を積み、その重さをくわざんすれば、わけなく牛の目方めかたがわかるというのである。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
おれたちが自分の仕事をするので、それも気にくわんらしい」
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
女は幾度も口籠りながら、手拭てぬぐいの端を俯目ふしめくわえて
小春の狐 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
忽地何人加点筆 忽地こっちとして何人なんぴと点筆てんぴつくわ
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
吹雪ふぶきがやんでしあわせです。せがれ出征しゅっせいしていますので、わたしも、お見送みおくりさせてもらいます。」と、おじいさんは、みんなのなかくわわりました。
夜の進軍らっぱ (新字新仮名) / 小川未明(著)
如何どうしても完全な磠砂どうしゃにならない、くわうるにやかましくて/\たまらぬから一旦めにした。けれども気強きづよい男はマダ罷めない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
くわふるに春枝夫人はるえふじん日出雄少年ひでをせうねん部室へやわたくし部室へやとは隣合となりあつてつたので萬事ばんじいて都合つがうからうとおもはるゝ。
わたくしはこの説明せつめいはたしてすべてをつくしているかいなかはぞんじませぬ。ただみなさまの御参考ごさんこうまでに、わたくしうかがったところをくわえてくだけでございます。
これは lessレッスくわえれば前例によればあたいなきもの、つまらぬもののように聞こゆるが、そのじつ意味は正反対でとても金銭かねに換算の出来ぬもの
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
そのうえわたしの言ったほかになにかつけくわえて言ったらしく、みんなをわらわせた。祖父そふはたびたび目をぱちくりやって、「どうもえらい犬だ」と言った。
すわ、なにかことこそはじまったぞ! とそれへくわえて、上杉家うえすぎけ北条家ほうじょうけ前田家まえだけ伊達家だてけ、そのほかのたまからも数知かずしれない剣士けんしたちがかけあつまってくる。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だけど、ガチョウさん、このチビさんがわれわれになんにもがいくわえないと、おまえさんが受けあってくれるんなら、今夜こんやはいっしょにいてもいいということにしましょう。
露宿をなして以来此汁をすすること二回、其味そのあじはなはだなり、くわふるにかつほの煑出しを以てす、偶々たま/\汁をつくることあるも常に味噌みそを入るるのみなれば、当夜の如き良菌りやうきんを得たるときは
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
ぞう、ライオン、とらをはじめ、動物の数が九十八種、曲芸きょくげいの馬が十八頭、曲芸師きょくげいしが三十と六人、げきとダンスの少年少女が二十と八人、それにくわえて世界的大魔術師だいまじゅつし、世界的猛獣もうじゅう使い
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
素人しろうとにしててゝくはしいものなかくわへぬ、さりとておてらむすめひだづま、お釋迦しやか三味しやみひくらずひときこすこしははゞかられて、田町たまちとほりに葉茶屋はぢやゝみせ奇麗きれいにしつらへ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
座興ざきようくわはつてた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
つばさのいたんだからすは、ちょうどれつなかほどにくわわっていました。そして、ひとり、みんなからおくれもせずに、あちらへんでいったのであります。
翼の破れたからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
すでよるふかく、くわふるに當夜このよなみおだやかにして、ふねいさゝか動搖ゆるぎもなければ、船客せんきやく多數おほかたすでやすゆめつたのであらう、たゞ蒸滊機關じようききくわんひゞきのかまびすしきと
くわうるに海が最も深いからドウも錨を上げるいとまがないと云うので、錨のくさりきって夫れから運動するようになった。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「それにぼくは金を持たない」とかれはつけくわえて言った。「ぼくはきのうから一きれのパンも食べない」
左様さよういろで一ばんよくわかる。最初さいしょうまれたての竜神りゅうじんみなちゃッぽいいろをしてる。そのぎはくろ、その黒味くろみ次第しだいうすれて消炭色けしずみいろになり、そして蒼味あおみくわわってる。
右一行中小西技師は躰量たいりやう二十三貫の大躯たいくなれ共つねに県下巡回じゆんくわいめ山野の跋渉ばつせうれ、余のごときはと山間のさんにしてくわふるに博物採集はくぶつさいしうめ深山幽谷を跋渉はつせうするの経験けいけん
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
英語に valueヴァリュー という字がある。近ごろの経済学者はこれを価値かちと訳し、これに lessレッスくわうればあたいなきもの、二そくもんあたいもない、つまらぬものという意になる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
此處こゝあるじ多辨はなしずきにやしわぶき勿躰もつたいらしくして長々なが/\物語ものがたいでぬ、祖父そふなりしひと將軍家しやうぐんけおぼあさからざりしこと、いまあしにて諸侯しよかうれつにもくわたまふべかりしを不幸ふかう短命たんめいにして病沒びやうぼつせしとか
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
民部みんぶさま、蔦之助つたのすけ小文治こぶんじが、あのように申していることゆえ、なんとか若君わかぎみにおすがりして、試合しあいくわわることおゆるしくださるよう、一つお取りなしを願いたいものでござるが……
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると、おおかみは、まったくかれのいったことをきわけたものとみえて、がいくわえるようすもなく、与助よすけあとについてあるいてくるのでありました。
おおかみと人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「いずれそのときはお勘定かんじょうをはらうことになるでしょうから、それまでわたしをいてはくださいませんか。その勘定にわたしのぶんもくわえてはらえばいいでしょう」
わかこゝろにはなさけなく𫁹たがのゆるびし岡持をかもち豆腐おかべつゆのしたゝるよりも不覺そゞろそでをやしぼりけん、兎角とかくこゝろのゆら/\とゑり袖口そでぐちのみらるゝをかてゝくわへて此前このまへとし春雨はるさめはれてののち一日
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)