黒棚くろだな)” の例文
振離ふりはなすと、ゆかまで落ちず、宙ではらりと、影を乱して、黒棚くろだなに、バツと乗る、と驚駭おどろき退すさつて、夫人がひたと遁構にげがまへのひらきもたれた時であつた。
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
振離ふりはなすと、ゆかまでちず、ちうではらりと、かげみだして、黒棚くろだなに、バツとる、と驚駭おどろき退すさつて、夫人ふじんがひたと遁構にげがまへのひらきもたれたときであつた。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
黒棚くろだな御廚子みずし三棚みつだなうずたかきは、われら町家ちょうか雛壇ひなだんには打上うちあがり過ぎるであろう。箪笥たんす長持ながもち挟箱はさみばこ金高蒔絵きんたかまきえ銀金具ぎんかなぐ。小指ぐらいな抽斗ひきだしを開けると、中があかいのも美しい。
雛がたり (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と力なささうに、疲れたらしく、立姿たちすがたのなり、黒棚くろだなに、柔かなそでを掛けたのである。
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ちからなささうに、つかれたらしく、立姿たちすがたのなり、黒棚くろだなに、やはらかなそでけたのである。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
俯目ふしめに、睫毛まつげ濃く、黒棚くろだなひとツの仕劃しきりを見た。袖口そでぐち白く手をべて
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
俯目ふしめに、睫毛まつげく、黒棚くろだなひとツの仕劃しきりた。袖口そでくちしろべて
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
枕許まくらもとちひさな黒棚くろだなに、一輪挿りんざしがあつて、撫子なでしこかつてました。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)