骨折ほねお)” の例文
それでどうか、も一度お骨折ほねおり下すって、いばりもしなければへりくだりもしないように、よく言いきかして下さいませんでしょうか。
コーカサスの禿鷹 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
「おまえさんがまたイギリスへ帰りたいと思うときには」とそのあくる朝、わたしたちがさようならを言って、かれの骨折ほねおりを感謝かんしゃすると、こう言った。
自分じぶんがどんなことを考えているかそれをるために、そしてそれをはっきりきあらわすために、あまり骨折ほねおっていたので、ついには、何かかんがえてみようとするだけで
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
ここまでるのには、御本人ごほんにん苦労くろうも一ととおりではありませぬが、かげになり、日向ひなたになって、親切しんせつにおみちびきくだされたかみさまがたのお骨折ほねおりは容易よういなものではございませぬ。
去年きょねん梅見時分うめみじぶんから伊勢新いせしん隠居いんきょ骨折ほねおりで、させてもらった笠森稲荷かさもりいなり水茶屋みずぢゃやたちま江戸中えどじゅう評判ひょうばんとなっては、きょう大吉だいきちかえった有難ありがたさを、なみだともよろこぶよりほかになく
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「どうもさっぱりに落ちませんが、おそらく骨折ほねおぞんのくたびれもうけでございましょう」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「内藤さん、この通りですから、照彦さんのお相手はお骨折ほねおりでしょう?」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
王子、あなたがいくら骨折ほねおっても、夢を捕えることは出来ません。けれど、あなたがあまり熱心なのにめんじて、夢の精を一つ見せてあげましょう。私はこの城の後ろの森の王です。
夢の卵 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
ここになるとずっとわれわれとの距離きょりちかいとでももうしましょうか、御祈願ごきがんをこむれば直接ちょくせつ神様かみさまからお指図さしずけることもでき、またそう骨折ほねおらずにお神姿すがたおがむこともできます——。
それで自分がどういう仕事に適当てきとうしているかがわかった。わたしはそれをやってみせた。そのうえよけいわたしをゆかいにしたことは、まったくこれでは骨折ほねおりのかいがあると感じたことであった。
そしてひる頃から夕方まで骨折ほねおって、それは実に見事なお料理をこしらえました。
天狗の鼻 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)