首領かしら)” の例文
首領かしらも金の猫も、縛つたまゝ船にもちこんで出帆してしまはう。こんなふしぎがおこるところにぐづ/\してると、とんだことになるぜ。
金の猫の鬼 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
よろよろと、足下あしもともさだまらぬ机博士を、荒くれ男が左右から、ひったてるようにして、やってきたのは首領かしらの待っている特別室。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
『冗談でしょう、首領かしら、わっしだって親方の御世話になってから三年になりますもの……ちったあ手心も解って来てますよ……』
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
宝の山を暗まぎれ、首領かしらの隠家に泳がそうと、しぶきのかかる巌陰いわかげづかを掴んで、白髪しらがを乱して控えたのは、崖の小屋の総六で、これが明方名告なのって出た。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「そのお首領かしらが気にいらないよ。おれはまるで泥棒仲間のようじゃないか、ほかに呼びようもあるだろう」
幻術天魔太郎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
首領かしらだった銀髪赭顔あからがおの老武士の腕に、ぐったりとなった弥生のからだが優しく抱かれていたのだった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
今も、女は、首領かしらということばをつぶやいたが、そも、彼等のいう悪の一味の首領とは何者であろうか。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
修行者がうしろから突飛つきとばしたから、ぐしゃッと彦五郎が倒れると、恐ろしい目方の物が上へ載ったから動きも引きも出来ない、すると修行者に首領かしらが打たれたと云うから
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
入口に向って、仲間の者より一段高いところに、この一座の首領かしららしく見える人間が座を占めている。痩せていて背が高く、さすがのレッグズも自分よりもっと痩せこけた男を見て呆気あっけにとられた。
しかもその一味の首領かしらというのが、君、他ならぬあの……。
器量骨格こつがら、狒は猿の首領かしらにして
鬼桃太郎 (新字新仮名) / 尾崎紅葉(著)
『ヤイヤイ。任して置きねえて事よ。愚物どじ……首領かしらをうまく落さにゃならねえんじゃねえか……よッ、こいつが第一でえいちだァな……』
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
正面にあぐらをかいてる、首領かしららしい男が、大きなさかずきをおいて、三人のほうをじっとにらんで、いいました。
金の目銀の目 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
いったい、どこからいつの間に首領かしらの椅子のうしろまで、忍びこんできたんだ。それ、即ち忍術をつかう証拠だ
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「あいすみません、あっしはこんなガサツな人間でなんと申しあげていいか見当もつきませんが、お首領かしらでいけなければ、大将、先生、旦那、小頭、親分……」
幻術天魔太郎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「だが……どうしたんだろう、新七は。もうお首領かしらを連れて来そうなものだが」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
りよう骨格こつがらひしさる首領かしらにしておほかみ
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「そうだ、おまえは気が変になっているのだ」机博士の考えを見抜いたように、首領かしらがズバリといいあてた。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
『いいえ……「これを首領かしらの所へ持って行け」と云うんでしょう。「首領かしらですって」と聞き返すと「そうよ。お前のへやに逗留している紳士にさ」と云うんです』
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
匪賊の首領かしらは、ただ、あっけにとられていましたが、やがて、うなだれて、地面に両手をつきました。
金の目銀の目 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
「お首領かしらは大奥の中老、出雲いずもさまのことを心配していたでしょう。あっしは、出雲さまの実家は仲通りの呉服屋増田屋ますだやとききだし、それとはなしに見張っていると——」
幻術天魔太郎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
そんな智恵なら、なにも先生に教えられねえでも、朝夕に眺めている梁山泊、とうに、そッちへ転げ込んでいますが、あそこには、白衣秀士びゃくえしゅうし王倫おうりんていう気に食わねえ野郎が首領かしらに坐っているでしょう。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それでも、とにかく博士の追跡をのがれて、首領かしらウルスキーとワーニャは、一時間あまり後に仏租界ふつそかいそびえたつ大東新報だいとうしんぽうビルの裏口の秘密ドアの前に辿たどりついた。
見えざる敵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
首領かしらを救わんとする強盗団の計画はわずか二十四時間で見事に破られ、かの巨盗アルセーヌ・ルパンの逮捕は確実になった。新聞紙はボートルレの記事でいっぱいであった。
「さうか、何處に居るんだ。あの仲間は大抵縛つたが、首領かしらの七之助一人網を拔けたんだ」
首領かしら気違きちがひになるし、金の猫は逃げだす。これからどんなことがおこるか分つたもんぢやない。これはきつと、何かのたたりだ。それとも、海の神が怒つたのかな。早く逃げよう。
金の猫の鬼 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
「おのれかっ、賊の首領かしらは」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ねえ、首領かしら」とワーニャは機嫌をとるようにいった。「楊博士の奴は、ひどく悄気しょげてたじゃないですか。たかが、たった一本の毛のことでねえ。莫迦ばからしいっちゃないや」
見えざる敵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「そうでございます、三人組の首領かしらで、人殺し房吉という、恐ろしい男でございます」
匪賊の首領かしらは数人の手下をつれて、見物に出てきました。向こうには五十人ばかりの捕虜ほりょが、荒縄あらなわで縛られ、棒杭ぼうくいに結びつけられて、もう覚悟を決めたらしく、うなだれていました。
金の目銀の目 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
この電報を受けとった悪漢あくかんの仲間は、博士を早速送ったのだ。こちらでは火事騒ぎを起させ、そのに傷ついた首領かしらを救い出して、これを近所の宿屋へかつぎ込んで、手術を受けさせたに違いない。
「さうで御座います、三人組の首領かしらで、人殺し房吉といふ、恐ろしい男で御座います」
「——うむ、首領かしらこのいえですぜ。丁度ちょうど七つ目の地下窓ちかそうにあたりまさあ」
見えざる敵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
翌日曜の朝、一人の巡査が、その塀の前の往来で一人の怪しい人影を見たといった。仲間の者が様子を見に来たのであろうか?あるいはまた彼らの首領かしらが僧院のどこかに隠れているのであろうか?
首領かしら気違きちがひになるし、金の猫は生きあがつて逃げだすし、これは何か悪いしらせだぜ。ぼくは一生懸命にあの猫を追つかけたが、どうしてもつかまらない。たうとうあんなところまで逃げていつてしまつた。
金の猫の鬼 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
首領かしら、てはずどほりにいつて、小僧をつれてきましたよ。」
スミトラ物語 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
「変なとき船が入ったものだね、お首領かしら
「變な時船が入つたものだね、お首領かしら
近江屋の先々代七兵衛がその首領かしらだ。
近江屋の先代七兵衞がその首領かしらだ。