館林たてばやし)” の例文
さてこのたび評判の館林たてばやしのお狸様、それとは変って、箸も持たぬお菰様こもさまのお通りでは、どうも商売がうるおいっこはありません。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
元禄げんろく時代の将軍家、館林たてばやし綱吉つなよし様が、ある時お手に入れられた所、間もなく江戸城お乗込み、将軍職に就かれたそうだ。
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
加須かぞに行く街道と館林たてばやしに行く街道とが町のはずれで二つにわかれる。それから向こうはひろびろした野になっている。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
将軍綱吉が、戌年いぬどし生れだったからである。また、綱吉の若年の名は、右馬頭うまのかみといっていたし、館林たてばやし侯から出て、将軍家を継いだ天和二年も、戌の年だった。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
館林たてばやしの城下では女賊じょぞくの噂で持ち切っていた。それはどこからともなしに城下へ来た妖婦であった。
女賊記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
種々しゆ/″\とゝのへ江戸錦繪淺草海苔館林たてばやし團扇うちは其外田舍ゐなか相應さうおうの品々を買求かひもと荷造にづくりをして町内の飛脚屋ひきやくや十七屋とをつやより先へまはし夫より名主なぬし家主町代ちやうだいは申に及ばず懇意こんいの先々へ暇乞いとまごひに參りしに何れも餞別せんべつ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
むかし、上野国こうずけのくに館林たてばやしに、茂林寺もりんじというおてらがありました。このおてら和尚おしょうさんはたいそうおちゃがすきで、いろいろとかわったおちゃ道具どうぐあつめてまいにち、それをいじってはたのしみにしていました。
文福茶がま (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
館林たてばやしの秋元藩の木呂子きろこ退造、塩谷良幹、相場朋厚ともあつその他を加えて、七名のさむらいが、そこの麓に落会っていた。
田崎草雲とその子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
持同心跪踞ひざまづき居る時に警蹕けいひつの聲ともろともに月番の老中志州ししう鳥羽とばの城主高六萬石從四位侍從松平右近將監しやうげん乘包のりかね殿上座に着座ちやくざあり右の方三でふほど下り若年寄上州館林たてばやしの城主高五萬石從五位に朝散太夫てうさんのたいふ太田備中守源資晴すけはる殿引き續いて寺社奉行丹羽たんば國永井郡園部そのべの領主高二萬六千七百石從五位朝散太夫小出信濃守藤原英貞ふぢはらひでさだ殿大目付には
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「紀州から出すか、館林たてばやしから出すか、尾張から出すか、このけんかだ」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)