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飛揚
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ひやう
斯く爲しつつ空中の鳥を目掛けて
投げる時は、
網を以て之を
覆ふと同樣、翼を
抑へ体を
締め
付け鳥をして
飛揚する事を得ざらしむ。
恐る/\
搖籃から
半身を
現はして
下界を
見ると、
今は
何處の
空に
吹流されたものやら、
西も
東も
方角さへ
分らぬ
程だが、
身は
矢張渺々たる
大海原の
天空に
飛揚して
居るのであつた。
後檣縱帆架に
飜る
旗は、まだ
朦乎として、
何國の
軍艦とも
分らぬが、
今や、
團々たる
黒煙を
吐きつゝ、
波を
蹴立てゝ
吾が
輕氣球の
飛揚せる
方角へ
進航して
來るのであつた。
此時私は
急に
一策を
案じた。