露西亞ロシア)” の例文
新字:露西亜
尖端せんたんうへけてゐるくぎと、へい、さてはまた別室べつしつ、こは露西亞ロシアおいて、たゞ病院びやうゐんと、監獄かんごくとにのみる、はかなき、あはれな、さびしい建物たてもの
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
こんな話をしたあとで、義雄は朝晝兼帶の食事の代りに、氷峰と共に、露西亞ロシアパンを噛じつた。辨當を取る金がなかつたのだ。
泡鳴五部作:03 放浪 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
沈痛ちんつう悲慘ひさん幽悽ゆうせいなる心理的小説しんりてきせうせつつみばつ」は奇怪きくわいなる一大巨人いちだいきよじん露西亞ロシア)の暗黒あんこくなる社界しやくわい側面そくめん暴露ばくろしてあますところなしとふべし。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
去來する雲の姿が露西亞ロシアの映畫のやうに明るく見えて、波一ツない靜けさである。湖の向うには摩周の劔のやうな頂上が雲の中へ隱れてゐるやうに見えた。
ゴルキイの小説によく出てくる露西亞ロシア草原ステッペ聯想れんさうさせるやうな、荒涼くわうりやうとした原の中に工場と、工場附屬ふぞくの住宅と、貧しげな商家農家の百軒あまりがまばらに立ち並び
処女作の思い出 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
なんでも露西亞ロシア秘密ひみつようがあつたんださうです」と小六ころく眞面目まじめかほをしてつた。御米およね
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
すると、また考へが人種問題ともつれ合つて來て、樺太のギリヤク人種やアイノ人種は白樺のたぐひで、同島に權力を振つてゐた露西亞ロシア人は松の種族だ。
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
高利貸こうりかし老婦人ろうふじん、いかにも露西亞ロシア露西亞ロシアらしくおもはれ、讀者どくしやをして再讀さいどくするにこゝろおこさしむ。居酒屋いざかやける非職官人ひしよくくわんじん懺悔ざんげ自負じふ白状はくじやうきはめ面白おもしろし。その病妻びようさいことひて
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)