-
トップ
>
-
陰徳
>
-
いんとく
ぞ頼みける
是陰徳あれば
陽報ありとの
譬の如く
此事後年に至つて大岡殿の見出しに
預かる一
端とはなりぬ
然ば新藤夫婦は是を
へい、
陰徳は
何んとやら、と
御酒の
上では、
能く
御親父樣がお
話しになりましたが、
世の
中の
事と
申しますものは、
書物の
通りには
參りませんで。
(
小声)
陰徳でも
乞食の足を洗ふのは
忌嫌でございますなア。とグヅ/\
云ひながら、
忌嫌々々足を洗つて
遣る。
職人じゃによって礼儀には
疎いが、心がけの
善い人で、第一
陰徳を施す事が好きで、此の頃は又仏のことに骨を
助ける
仁術の
渡世にて
陰徳有ば
陽報ありとの古語も當に成ず口惜く候と
獨り
言を云を越前守殿
汝れ此上は眼に物見せんと少しく
怒りの色を
顯されしかば一同の者は顏を
何を
云つて
居る、
当時は
事由あつて
零落れてお
出でなさるが、
以前は
立派なお
方で、
士族さんだか
何だか
知れないんだよ、
大事にしてお
上げ、
陰徳になるから。
請た御人で御座りますと聞て藤八も驚き
然れば豫て話の九助殿人を助けたれば又
助けらるゝアヽ
陰徳あれば
陽報ありとはテモ不思議と是より座敷に
到り互に
一伍一什の物語りを
人の死ぬ時はその前に死相の出るという事は
予ねて承わって居り、
殊に
貴方は人相見の名人と聞いておりますし、又昔から
陰徳を
施して寿命を全くした話も聞いていますが