陰徳いんとく)” の例文
ぞ頼みけるこれ陰徳いんとくあれば陽報やうはうありとのたとへの如く此事このこと後年こうねんに至つて大岡殿の見出しにあづかる一たんとはなりぬされば新藤夫婦は是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
へい、陰徳いんとくんとやら、と御酒ごしゆうへでは、御親父樣ごしんぷさまがおはなしになりましたが、なかことまをしますものは、書物しよもつとほりにはまゐりませんで。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
小声こごゑ陰徳いんとくでも乞食こじきの足を洗ふのは忌嫌いやでございますなア。とグヅ/\ひながら、忌嫌々々いや/\足を洗つてる。
職人じゃによって礼儀にはうといが、心がけのい人で、第一陰徳いんとくを施す事が好きで、此の頃は又仏のことに骨を
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
助ける仁術じんじゆつ渡世とせいにて陰徳いんとく有ば陽報やうはうありとの古語も當に成ず口惜く候とひとごとを云を越前守殿おのれ此上は眼に物見せんと少しくいかりの色をあらはされしかば一同の者は顏を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なにつてる、当時いま事由ゆゑあつて零落おちぶれておでなさるが、以前もと立派りつぱなおかたで、士族しぞくさんだかなんだかれないんだよ、大事だいじにしておげ、陰徳いんとくになるから。
請た御人で御座りますと聞て藤八も驚きれば豫て話の九助殿人を助けたれば又たすけらるゝアヽ陰徳いんとくあれば陽報やうはうありとはテモ不思議と是より座敷にいたり互に一伍一什いちぶしじふの物語りを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
人の死ぬ時はその前に死相の出るという事はねて承わって居り、こと貴方あなたは人相見の名人と聞いておりますし、又昔から陰徳いんとくほどこして寿命を全くした話も聞いていますが