闕下けっか)” の例文
「今は、闕下けっかに大乱の起っている非常時だ。朝夕の供御は、兵卒から上げてあるのに、この上、なにを贅沢なごたくをならべるのかっ」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
太祖が孝孺を愛重せしは、前後召見のあいだおいて、たま/\仇家きゅうかためるいせられて孝孺の闕下けっか械送かいそうせられし時、太祖そのを記し居たまいてことゆるされしことあるに徴しても明らかなり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
闕下けっかを犯し奉ったのもその慶喜であると言われるのは、事実の曲解であろうと、なかろうと——伏見、鳥羽の戦さに、現に彼より兵端を開いたのは慶喜の反状が明白な証拠だと言われるのに
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
封演の『聞見記』を引き、唐朝大赦ある時、闕下けっかに黄金の首ある鶏を高橦こうとうの下に立て、宮城門の左に鼓を置き、囚徒至るを見てこれを打ち、赦をのたまえおわりて金鶏を除く、この事魏晋已前いぜん聞えず
「おう、よくぞ御心をお定め遊ばした。陛下! 一刻もはやく詔書みことのりを降して、闕下けっかに血をみるの難を未然におふせぎあれ」と、うながした。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
がん到りてかえって燕王の機略威武の服するところとなり、帰って燕王の語ちょくにして意まことなるを奏し、皇上権奸けんかんちゅうし、天下の兵を散じたまわば、臣単騎たんき闕下けっかに至らんと、云える燕王の語を奏す。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
さほどにみずからの非を知るなれば、ただちに全兵力を解いて、尊氏自身、都へのぼり、みかどの闕下けっかに伏して罪を待てと申されい
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「不肖、陳倉を守りおる以上は、長安も洛陽も高きに在って洪水をご覧ぜられる如く、お心のどかにおわしませ」と、闕下けっかに誓って出発した。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いそぎ参朝せよ」と、召せばいつでも、素直に出てくる司馬懿であったが、闕下けっかに伏しても、この頃の風雲にはまるでつんぼのような顔をしていた。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
楊儀は闕下けっかに伏して、うやうやしく孔明の一書を捧呈した。これなん孔明がふたたび悲壮なる第二次北伐の決意を披瀝ひれきしたいわゆる「後出師表ごすいしのひょう」であった。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なまなか闕下けっか恩寵おんちょうれている都人士などよりも、あるいは世のおおやけに役立つ者どもかとぞんじられます
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひとたび旗を中原ちゅうげんに立ててからの彼の父信長という人は、いずこに戦っても、一戦果せば直ちに上洛じょうらくして禁門に戦果をそうし、国のよろこびあれば歓びを闕下けっか伏奏ふくそう
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのほか戦後の混乱時に、よく闕下けっかの治安を維持したなども、尊氏の功は少なしとせぬ。……さればこそ。おん諱名いみなの『たか』の一字をさえ賜うたほどなご嘉賞ではなかったか。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
久しぶりに籠居ろうきょを離れて、朝へ上ると、彼は直ちに、闕下けっかに伏して、出師すいしの表を奉った。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
筑紫つくしの尊氏は、須臾しゅゆのまに、西国の諸豪を手なずけ、四国、山陽山陰の与類よるいをあわせ、おそくも年内には、大挙、ふたたび闕下けっかへせまってくることは、火を見るよりも明らかとおもわれまする
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いや心得申した。きのうも筑紫つくしから少弐、大友、菊池、松浦などの党が上洛いたし、それらの武士の参内さんだいに、あわただしく暮れたばかり……。あすはおへんをともなって、親しゅう闕下けっかに拝謁の儀を
「ご覧の如く、臣ら、長途を急ぎ参って、甲冑かっちゅうを帯し、剣を横たえておりますれば、謹んで、闕下けっかにご謁を賜う身仕度もいたしかねます。——願わくは、軍旗をもって、直奏ちょくそうおゆるしあらんことを」
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
勿体なきことの極みと、すなわち翌年、万難を排し、上洛して、闕下けっかに伏し、親しく咫尺しせきを拝し、また天盃てんぱいを降しおかる。……実に謙信が弓矢る身に生れた歓びを知ったのはこのときにであった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いや、かむりをつらねて、帝の闕下けっかに迫ったというべきであろう。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すぐ闕下けっかに伏して
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)