長吉ちやうきち)” の例文
「だから、はないツちやない。」と蘿月らげつは軽くにぎこぶし膝頭ひざがしらをたゝいた。おとよ長吉ちやうきちとおいとのことがたゞなんとなしに心配でならない。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
長吉ちやうきちのわからずやはれも亂暴らんぼううへなしなれど、信如しんによしりおしくはれほどにおもりて表町おもてまちをばあらじ、人前ひとまへをば物識ものしりらしく温順すなほにつくりて
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「ほんとさ。おまへさん。」おとよは首を長くのばして、「私の僻目ひがめかも知れないが、じつはどうも長吉ちやうきち様子やうすが心配でならないのさ。」
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
からつきりんなそでのぺら/\した、おそろしいながものまくあげるのだからね、うなれば來年らいねんから横町よこちやうおもてのこらずおまへ手下てしただよとそやすに、してれ二せんもらふと長吉ちやうきちくみるだらう
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
長吉ちやうきちの時長命寺辺ちやうめいじへんつゝみの上の木立こだちから、他分たぶん旧暦きうれき七月の満月であらう、赤味あかみを帯びた大きな月の昇りかけてるのを認めた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
長吉ちやうきち野郎やらう片腕かたうでがなくなるものふに、何故なぜどうして片腕かたうでがなくなるのだ。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)