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銀簪
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ぎんかんざし
ふりがな文庫
“
銀簪
(
ぎんかんざし
)” の例文
子分のガラッ八が差出した
提灯
(
ちょうちん
)
の
覚束
(
おぼつか
)
ない明りにすかして見ると、若い
芸妓
(
げいしゃ
)
が一人、
銀簪
(
ぎんかんざし
)
を深々と右の眼に突っ立てられて、
仰
(
の
)
け
様
(
ざま
)
に死んでいたのです。
銭形平次捕物控:004 呪いの銀簪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
果ては、その中から、別に、綺麗な絵の蝋燭を一挺抜くと、それへ火を移して、
銀簪
(
ぎんかんざし
)
の耳に
透
(
とお
)
す。
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
雀羅
(
じゃくら
)
を張った
破風
(
はふ
)
から鬼の腕でものびそうに思われる、——その朽ち
傾
(
かし
)
いだ山門の、顔をなでられてもわからないような
暗
(
やみ
)
のなかに、チラリと、
銀簪
(
ぎんかんざし
)
の光がうごきました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
シャンデリアの光に髪に差してある、
銀簪
(
ぎんかんざし
)
のピラピラが、燐火を燃やしているように見えた。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
つぶしに大きな
平打
(
ひらうち
)
の
銀簪
(
ぎんかんざし
)
、
八丈
(
はちじょう
)
の
半纏
(
はんてん
)
に
紺足袋
(
こんたび
)
をはき、霜やけにて少し頬の赤くなりし
円顔
(
まるがお
)
鼻高からず、
襟白粉
(
えりおしろい
)
に
唐縮緬
(
とうちりめん
)
の
半襟
(
はんえり
)
の汚れた
塩梅
(
あんばい
)
、知らざるものは
矢場女
(
やばおんな
)
とも思ふべけれど
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
銀簪
(
ぎんかんざし
)
顎十郎捕物帳:23 猫眼の男
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
子分のガラツ八が差出した提灯の覺束ない明りにすかして見ると、若い藝妓が一人、
銀簪
(
ぎんかんざし
)
を深々と右の眼に突つ立てられて、仰向け樣に死んで居たのです。
銭形平次捕物控:004 呪ひの銀簪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
さては両人共崖に
墜
(
お
)
ち候が
勿怪
(
もっけ
)
の
仕合
(
しあわせ
)
にて、手
疵
(
きず
)
も負はず立去り候もの
歟
(
か
)
など思ひながら、ふと足元を見候に、草の上に
平打
(
ひらうち
)
の
銀簪
(
ぎんかんざし
)
一本落ちをり候は、申すまでもなくかの娘御の物なるべくと
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
振り上げた
銀簪
(
ぎんかんざし
)
逆手握
(
さかてにぎ
)
り、常夜燈の光でギラギラギラ! 左手で取り上げた
褄
(
つま
)
を洩れ、翻めく蹴出しは水色だ。それへ点々と滴る血! はみ出した脛の真っ白さ! いつか駒下駄脱ぎすててある。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
眼に突つ立てた
銀簪
(
ぎんかんざし
)
は、鷹の羽を淺く彫つた平打の丈夫な品で、若い藝妓の頭を飾るにしては少し
野暮
(
やぼ
)
です。
銭形平次捕物控:004 呪ひの銀簪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
銀簪
(
ぎんかんざし
)
だ!
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「平打の
銀簪
(
ぎんかんざし
)
で、間違ひやうのない品ですが、内儀さんは昨夜そんなものをさしてはゐなかつたと言ふのも聽かずに、三輪の親分は引つ立てて行きましたよ」
銭形平次捕物控:232 青葉の寮
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
娘盛りの頃、強盜に
手籠
(
てごめ
)
にされさうになつて、
銀簪
(
ぎんかんざし
)
で眼を突いて危ふいところを
免
(
まぬが
)
れたことがありました。
銭形平次捕物控:004 呪ひの銀簪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「そんな間抜けたものを用意するものか。俺のは女房の
銀簪
(
ぎんかんざし
)
をかりて、足を曲げて髷の中へ仕込んだよ。切られるとカチリと言ったが、毛は少し
削
(
そ
)
げたかも知れない」
銭形平次捕物控:174 髷切り
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「そんな間拔けたものを用意するものか。俺のは女房の
銀簪
(
ぎんかんざし
)
をかりて、足を曲げて髷の中へ仕込んだよ。切られるとカチリと言つたが、毛は少し
削
(
そ
)
げたかも知れない」
銭形平次捕物控:174 髷切り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お銀のは手打の
銀簪
(
ぎんかんざし
)
で、
笹龍膽
(
さゝりんどう
)
を彫つた珍らしいもの、これは生みの母親——つまり庄司伊左衞門が手を付けた女中から貰つたものだと言ひますが、誰もそんなものを知つてはをらず
銭形平次捕物控:175 子守唄
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それは何んと、
長襦袢
(
ながじゆばん
)
を踏みはだけた寢亂れ姿、髮が少し亂れて、
銀簪
(
ぎんかんざし
)
を振り冠つた青い顏——
藍
(
あゐ
)
を塗つたやうな
鬼畜
(
きちく
)
の顏——
紛
(
まぎ
)
れもない、内儀のお輝の血に
渇
(
かわ
)
く、物凄い顏だつたのです。
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
醫者の差出した
銀簪
(
ぎんかんざし
)
を見ると、成程その先が青黒く色變りがして居ります。
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
出してもよからう、——俺の調べたところでは、お銀は小田原在の百姓の娘で調布の仁兵衞の養ひ娘ではない。
笹龍膽
(
さゝりんどう
)
の
銀簪
(
ぎんかんざし
)
は金五郎の細工だ、——いや金五郎はもう恐れ入つて白状して居るよ
銭形平次捕物控:175 子守唄
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
御内儀の
銀簪
(
ぎんかんざし
)
、二分か三朱の
稼
(
かせ
)
ぎに滿足して、萬々一思はぬ大金をすり取つたりすると、大骨を折つてすられた人を搜し出し、要らない分は、窓から投げ返して來るといふ、途方もない
潔癖
(
けつぺき
)
さです。
銭形平次捕物控:307 掏られた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
今は跡形もありませんが、その頃
流行
(
はや
)
った
瓦町
(
かわらまち
)
の
焙烙地蔵
(
ほうろくじぞう
)
様の門前、お百度石の側で、同じ町内の糸屋の娘お駒が、
銀簪
(
ぎんかんざし
)
に右の眼玉を突かれて、芸妓奴と同じように、
無慙
(
むざん
)
な死に様をしていたのです。
銭形平次捕物控:004 呪いの銀簪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
お藤を産んだ下女の名はお篠と言つたこと、——お篠は
笹龍膽
(
さゝりんどう
)
の
銀簪
(
ぎんかんざし
)
を持つてゐたこと、——そしてお藤のために眞鍮の迷子札を作つて、そつと守り袋へ入れてやつた覺えのあること——などでした。
銭形平次捕物控:175 子守唄
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
銀
常用漢字
小3
部首:⾦
14画
簪
漢検1級
部首:⽵
20画
“銀”で始まる語句
銀
銀杏
銀杏返
銀色
銀座
銀貨
銀河
銀行
銀泥
銀煙管