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酌
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つぎ
喰ひに來りしに
渠如才なき者なれば我身代に
取付は此時なりと思ひ
愛想能酒も
負て
酌ければ其の
繁昌大方ならず日毎に三十貫文餘りの
利潤を得て忽ちに大身代となりて酒店をも
開しかど昔しを
さて是より熊の
話也、今一盃たまはるべしとて
自酌てしきりに
喫、
腰より
烟艸帒をいだして
烟を
吹などするゆゑ、其
次はいかにとたづねければ、
老父曰、さて
傍を見れば
潜べきほどの
岩窟あり
只無々とばかり云ひをつて
汝今に
誤まるか
辛目見せて呉んと云ながら一升
桝へ
波々と一ぱい
酌酒代は
幾干でも勘定するぞよく見てをれと
冷酒の
桝の
角より一
息にのみ
干最一
杯といひつゝ又々
呑口を