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逈
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はる
ふりがな文庫
“
逈
(
はる
)” の例文
姉妹を初め、三四人の乘客が皆もうプラットフォームに出てゐて、
逈
(
はる
)
か南の方の森の上に煙の見えるのを、今か今かと待つてゐる。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
線路の両側に
鬱蒼
(
うっそう
)
と続いていた森が、突然ぱったりと
途絶
(
とだ
)
えると定規で引いたような直線レールが
逈
(
はる
)
か多摩川の方に
白々
(
しらじら
)
と濡れて続いています。
穴
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
そうして西に傾きかかった太陽は、この小丘の
裾
(
すそ
)
遠く
拡
(
ひろが
)
った
有明
(
ありあけ
)
の入江の上に、長く曲折しつつ
逈
(
はる
)
か水平線の両端に消え入る白い砂丘の上に今は力なくその光を投げていた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
尤
(
もっと
)
も当時
競漕
(
きょうそう
)
の選手になっていた岡田は、体格では
逈
(
はる
)
かに川上なんぞに
優
(
まさ
)
っていたのである。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
主人が人間の
齢
(
よはひ
)
の尋常の境を
逈
(
はる
)
かに越してゐて、老後に罹り易い病のどれにも罹らずに、壮んな気力を養つてゐるのは、好い空気の
賜
(
たまもの
)
である。主人は生涯に赫々たる功名を遂げた人である。
復讐
(新字旧仮名)
/
アンリ・ド・レニエ
(著)
▼ もっと見る
東
(
ひがし
)
と
西
(
にし
)
と
南
(
みなみ
)
の
三方
(
さんぽう
)
は
此
(
この
)
島
(
しま
)
の
全面
(
ぜんめん
)
で、
見渡
(
みわた
)
す
限
(
かぎ
)
り
青々
(
あを/\
)
とした
森
(
もり
)
つゞき、
處々
(
ところ/″\
)
に
山
(
やま
)
もある、
谷
(
たに
)
も
見
(
み
)
える、また
逈
(
はる
)
か/\の
先方
(
むかう
)
に
銀色
(
ぎんしよく
)
の
一帶
(
いつたい
)
の
隱見
(
いんけん
)
して
居
(
を
)
るのは、
其邊
(
そのへん
)
に
一流
(
いちりう
)
の
河
(
かは
)
のある
事
(
こと
)
が
分
(
わか
)
る。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
吾人の社會が「野獸や山禽の社會」と
逈
(
はる
)
かに距つた上級のものとなるのであつて、かゝる情懷の發現が其の人に「超物的の高尚な幸福」を與ふるは言ふ迄も無く、そして亦他人には、物質的の幸福と
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
姉妹を初め、三四人の乗客が皆もうプラツトフオームに出てゐて、
逈
(
はる
)
か南の
方
(
かた
)
の森の上に煙の見えるのを、今か今かと待つてゐる。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
勿論
(
もちろん
)
今はあんな窓を見ようと思ったって、
僅
(
わず
)
かに丸の内の
櫓
(
やぐら
)
に残っている位のもので、上野の動物園で
獅子
(
しし
)
や虎を飼って置く檻の格子なんぞは、あれよりは
逈
(
はる
)
かにきゃしゃに出来ている。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
と、
語
(
かた
)
り
終
(
をは
)
つて、
春枝夫人
(
はるえふじん
)
は
明眸
(
めいぼう
)
一轉
(
いつてん
)
逈
(
はる
)
かの
空
(
そら
)
を
仰
(
あほ
)
いだ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
燃ゆる様な
好摩
(
かうま
)
が原の夏草の中を、
驀地
(
ましぐら
)
に走つた二条の
鉄軌
(
レール
)
は、車の軋つた痕に烈しく日光を反射して、それに疲れた眼が、
逈
(
はる
)
か
彼方
(
むかう
)
に快い蔭をつくつた、白樺の木立の中に
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
逈
部首:⾡
10画