退散たいさん)” の例文
「ご主人半助はんすけさまには、きさまのような小僧こぞうになんのご用もないとおっしゃった。ペラペラむだ口をたたきおらずと退散たいさんせい」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「もうわしがおっては邪魔であろう。これ以上ここらにうろうろすれば憎まれるだけだ。犬に食われんうちに退散たいさん退散」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
かためて引取りけり夫より役人方一同退散たいさんに付大岡殿も評定所より歸宅きたくされ即刻定廻り同心どうしんよばれて小柳町一丁目に住居ぢうきよ致す切首多兵衞并に同居のおとゝ願山と申すそう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
事件の性質上、御家族に危害きがいを加えることは万あるまいから、あなた自身だけ退散たいさんしたがよいと言う。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
鹽花しほばなこそふらねあとは一まづして、若旦那わかだんな退散たいさんのよろこび、かねしけれどにくければいゑらぬは上々じやう/\なり、うすればのやうに圖太づぶとくなられるか
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
要らぬと言えば、黙然だんまりで、腰からさきへ、板廊下の暗い方へ、スーと消えたり……怨敵おんてき退散たいさん
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「万歳! 日本にっぽん万歳! 悪魔降伏。怨敵おんてき退散たいさん。第×聯隊万歳! 万歳! 万々歳!」
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
サ、おどきよおどきよ、どこへでも退散たいさんしなよ、もう小太郎山こたろうざんとりでは、いまから徳川とくがわさまの持物もちものになる、おまえみたいに、京都でおこもをしてきたようなきたないやつはっておけないんだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たこ燐火ひとだま退散たいさんだ」
海の使者 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)