トップ
>
辛気
>
しんき
ふりがな文庫
“
辛気
(
しんき
)” の例文
旧字:
辛氣
駄菓子ではつまらないと見えて腹がグウグウ
辛気
(
しんき
)
に鳴っている。隣の古着屋さんの部屋では、
秋刀魚
(
さんま
)
を焼く強烈な匂いがしている。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
じめじめした秋の雨が長く続いて、
崖際
(
がけぎわ
)
の茶の
室
(
ま
)
や、玄関わきの長四畳のべとべとする畳触りが、いかにも
辛気
(
しんき
)
くさかった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「そう水を向けちゃあいけませんやあねえ。
姐御
(
あねご
)
、姐御は苦労人だ。
辛気
(
しんき
)
臭くちゃ酒がまずいや、ねえ?」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「ああ、
辛気
(
しんき
)
くさい。来たくないっていうものを、なにもむりやりに連れて来なくってもいいじゃないの」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
〽しばし
彳
(
たゝず
)
む
上手
(
うはて
)
より
梅見返
(
うめみがへ
)
りの舟の
唄
(
うた
)
。〽忍ぶなら/\
闇
(
やみ
)
の
夜
(
よ
)
は置かしやんせ、月に雲のさはりなく、
辛気
(
しんき
)
待つ
宵
(
よひ
)
、
十六夜
(
いざよひ
)
の、
内
(
うち
)
の
首尾
(
しゆび
)
はエーよいとのよいとの。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
席はわたくし一人を取巻いて二人の給仕女中が
辛気
(
しんき
)
臭そうに立っているのを見ますと、「おや」と言った後、夫人は「ちょいと/\」と女中を自分の方へ呼び付けました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その
苧糸
(
おいと
)
を紡ぐということは、ジンキの篠巻きよりもはるかに
辛気
(
しんき
)
な作業で、一枚の衣物になるのはその糸の全長の総計だけ、指のさきで
捻
(
よ
)
らなければならなかったのである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「ねツから
来
(
き
)
いへんえな。こない待つてて、若し戻つて来いへなんだら、往生やな。鼻緒さへ切れてゐなんだら、何処ぞそこら辺、車通るとこまで歩いて行くんやに、
辛気
(
しんき
)
くさ!」
乳の匂ひ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
「ええ
辛気
(
しんき
)
な琵琶法師。人の心も知らないで悠長らしく掻き鳴らす事は……ご無用!」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お
向
(
むか
)
ふの
三層楼
(
さんがい
)
の
高
(
たか
)
い
部屋
(
へや
)
の
障子
(
しやうじ
)
に、
何時
(
いつ
)
までも
何時
(
いつ
)
までも
照
(
て
)
りつける
辛気
(
しんき
)
くささ
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
きよきが側から袖を引き「云っちめえな」と
囁
(
ささや
)
いた。ふじこは首を振り、それから急に顔をあげて、ああ
辛気
(
しんき
)
くせえ、と急に投げやりな調子になって云った、「こんな話しはもうやめた」
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「ああ
辛気
(
しんき
)
だこと!」と
一夜
(
あるよ
)
お勢が
欠
(
あく
)
びまじりに云ッて
泪
(
なみだ
)
ぐンだ。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
アメリカでは、あまりこんな
辛気
(
しんき
)
くさいものを見かけません。
虫喰い算大会
(新字新仮名)
/
海野十三
、
佐野昌一
(著)
たどたどと口籠って、ハアッと
辛気
(
しんき
)
くさく溜息をつき
顎十郎捕物帳:24 蠑螈
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「
辛気
(
しんき
)
くさい娘だね。そんなこと聞きともないよ!」
雑居家族
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
吝々
(
けちけち
)
するのは芸者の禁物であり、
辛気
(
しんき
)
くさい洗濯や針仕事は忙しい
妓
(
こ
)
には無理でもあり、小さい時から家庭を離れている銀子は、見ず知らずのこの土地へ来てからは
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
〽しばし
彳
(
たたず
)
む
上手
(
うわて
)
より
梅見返
(
うめみがえ
)
りの舟の唄。〽忍ぶなら忍ぶなら
闇
(
やみ
)
の夜は置かしやんせ、月に雲のさはりなく、
辛気
(
しんき
)
待つ宵、
十六夜
(
いざよい
)
の、
内
(
うち
)
の
首尾
(
しゅび
)
はエーよいとのよいとの。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
あんまりお見えにならないので、この
娘
(
こ
)
はすッかり
辛気
(
しんき
)
になって、この通りなんでございますの。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「おひとりで、
辛気
(
しんき
)
くそうござんしょう、お嬢さま」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「オオ
辛気
(
しんき
)
、お暑いのにご馳走様」
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“辛気”の意味
《名詞》
晴れ晴れしないさま。焦れったいこと。また、そのようなさま。
(出典:Wiktionary)
辛
常用漢字
中学
部首:⾟
7画
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
“辛気”で始まる語句
辛気臭