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蹉
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つまず
ふりがな文庫
“
蹉
(
つまず
)” の例文
そうだ! そんなことは幾何でもある、
俺
(
わし
)
もそう思ってやったのだ。が、向うでは
初
(
はじめ
)
から
謀
(
はか
)
ってやった仕事だ。俺が少しでも、
蹉
(
つまず
)
くのを
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
自分は
蹉
(
つまず
)
きもし、失望もし、迷いもした。しかし大体に
於
(
お
)
いて彼女を救おうとした自分の方針を過まらなかったつもりだと書いた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
当時の気分にとってこれは便宜な考え方であったかも知れないが、明治以来の日本文学の成長のためには画期的な一つの
蹉
(
つまず
)
きとなったと思われる。
昭和の十四年間
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
目指す故郷はいつの間にか
遙
(
はるか
)
に
距
(
へだた
)
ってしまい、そして私は屡〻
蹉
(
つまず
)
いたけれども、それでも動乱に動乱を重ねながらそろそろと故郷の方へと帰って行った。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
(向うを見る。)
当途
(
あてど
)
も無しに峰や
谷間
(
たにあい
)
を駈けまわって、木の根や岩角にでも
蹉
(
つまず
)
くか、谷川へでも滑り落ちるか、飛んだ怪我でもしなさらねばよいが……。
人狼
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
「一人の小さきものを
蹉
(
つまず
)
かすよりは、
石臼
(
いしうす
)
を
頸
(
くび
)
に懸けて、海に沈めらるる方むしろ安かるべし」
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
彼は立ち上って卑弥呼の部屋へ行こうとしたとき、反絵の足に
蹉
(
つまず
)
いて前にのめった。しかし、彼の足は急いでいた。彼は
蹌踉
(
よろ
)
めきながら、彼女の部屋の方へ近づくと、その
遣戸
(
やりど
)
を押して中に
這入
(
はい
)
った。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
こう言合って、勇気を鼓して進もうとすると、疲れた足の指先は石に
蹉
(
つまず
)
いて痛い。復たぐったりと倒れるように、草の上へ横に成って休んだ。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
空
(
くう
)
を撃ったお杉は力余って、思わず一足前へ
蹌踉
(
よろめ
)
く
機会
(
はずみ
)
に、
恐
(
おそら
)
く岩角に
蹉
(
つまず
)
いたのであろう、身を
翻
(
ひるが
)
えして穴の底へ真逆さまに転げ
墜
(
お
)
ちた。蝋燭は消えて真の闇となった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
然し縦令反抗するとも私はこれで筆を
擱
(
お
)
くことは出来ない。私は言葉を
鞭
(
むちう
)
つことによって自分自身を鞭って見る。私も私の言葉もこの個性表現の困難な仕事に対して
蹉
(
つまず
)
くかも知れない。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
われらの前に横たわってわれらの歩を阻む
蹉
(
つまず
)
きの石が多いことを感ずる。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
つい、
蹉
(
つまず
)
いたら、飛びかゝってやろう位にしか思っていないのですもの。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
彼は何か
出張
(
でば
)
った石の頭に
蹉
(
つまず
)
いて
踉
(
よろ
)
けた。
御身
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
この時、
背後
(
うしろ
)
の方から不意に物の
気息
(
けはい
)
が聞えて、何者か忍び寄るようにも思われたので、市郎は手早く蝋燭を
把
(
と
)
って
起上
(
たちあが
)
ると、余りに慌てたので、彼は父の死骸に
蹉
(
つまず
)
いた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
が、心は
矢竹
(
やたけ
)
に
遄
(
はや
)
っても
彼女
(
かれ
)
は
矢
(
や
)
はり女である。
村境
(
むらざかい
)
まで来る
中
(
うち
)
に、遂に重太郎の姿を見失ったのみか、我も
大浪
(
おおなみ
)
のような
雪風
(
ゆきかぜ
)
に吹き
遣
(
や
)
られて、
唯
(
と
)
ある
茅葺
(
かやぶき
)
屋根の軒下に
蹉
(
つまず
)
き倒れた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
逃げる奴は何分にも
素人
(
しろうと
)
の悲しさ、気ばかり
焦
(
あせ
)
って体が前へ泳いでいるので、ちょいと
蹉
(
つまず
)
くとすぐに突んのめる。男が何かにつまずいてばったり倒れたところを、二人がすぐに取り押えました。
半七捕物帳:47 金の蝋燭
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
蹉
漢検1級
部首:⾜
17画
“蹉”を含む語句
蹉跌
蹉跎
蹉躓
大蹉跌
一蹉跌
蹉陀