貞婦ていふ)” の例文
さだめし其女そなたは嫁ぐ日までの教養として、貞婦ていふかがみとなるよう、おしゅうとどのからも、やかましい庭訓ていきんを数々おしえこまれておろうが、この良人は、そう気難しゅうはない。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お前さんでも貞婦ていふ両夫にまみえずということがあるは知ってるでしょう、私だって左様そうだわ、一旦伊之さんとあんな交情なかになったんだもの、世間の義理で切れましょうと云ったって
余は「罪と罰」第一くわん通讀つうどくすること前後ぜんごくわいせしが、その通讀つうどくさいきはめて面白おもしろしとおもひたるは、殺人罪さつじんざい原因げんいんのいかにも綿密めんみつ精微せいび畫出くわくしゆつせられたることなり、もしある兇漢けふかんありてある貞婦ていふころ
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
とげし浪人藤崎道十郎が修羅しゆら亡執まうしふも此處にうかみ出て嬉く思ふなるべし果せるかな惡事のむくい速かにめぐり來りてさしも申いつはりたる村井長庵が奸謀かんぼう悉皆こと/″\く調べ上に相成はじめ貞婦ていふみつ孝子かうしみち之助が善報の程は神佛しんぶつ應護おうごにもあづかりし物成んと其ころ風聞とりさたなせしとぞさて其翌年に至りて公儀こうぎに有難き大赦たいしやの行はれけるに御かみにも久八が忠義の程を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)