證文しようもん)” の例文
新字:証文
朱塗りの手筐の證文しようもんも、何時誰に見付けられて、奪ひ去られて了ふものか、全く油斷もすきもありません。
かけやうやく敵をうちて候と申立しかば大岡殿不審ふしんに思はれ其方敵の面體めんていかね見覺みおぼえ居たるや覺束おぼつかなしと有しに瀬川せがは其事そのことは上方のきやく三人半左衞門へ金四百兩あづけ候とて證文しようもん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さうしてかれむかし生活せいくわつ健全けんぜんで、愉快ゆくわいで、興味きようみつたこと、其頃そのころ上流社會じやうりうしやくわいには知識ちしきつたとか、また其社會そのしやくわいでは廉直れんちよく友誼いうぎ非常ひじやうおもんじてゐたとか、證文しようもんなしでぜにしたとか
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
然れば亡父之靈魂れいこんをも安ぜしめ申度御座候に付、其節差上置候證文しようもん、御返被下候はゞ、亡父へも右之首尾相濟候儀を申解まうしとき候半歟と相考候付、宜敷御了解ごれうげ成下候處、ひとへに希候。
遺牘 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
云はるゝ人哉ひとかなおそろしや又五十兩と有れば容易よういならざる大金なり夫には何ぞ證據にても有りさうな物といへば其時千太郎如何にも御自分がしたゝめられし受取うけとり證文しようもんこれられよと云ひつゝ一さつ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
二度の勤めをさせるといふ證文しようもんまで取つて、時々醫者をよこしました。
大切たいせつに勤めますと云其言葉に田舍訛ゐなかなまり有けれど容貌きりやうのよさに主人あるじもはずみ少し高くは思へどもつひに年一ぱい廿七年のなつ四月までの證文しようもんにて五十兩にかはんとの挨拶に十兵衞は大いに悦び五十兩の金の有ならば年貢の未進は殘らずをさめ所々の買懸かひがかり其外の借錢しやくせんまで殘らず一時にかた
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)