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諍
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いさか
ふりがな文庫
“
諍
(
いさか
)” の例文
彼の家の中では万事がうまくいっていなかった。彼はいつも家事女らと
諍
(
いさか
)
いばかりしていたし、雇い人らからはたえず
瞞
(
だま
)
され盗まれていた。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
この珍しい
諍
(
いさか
)
いがあったのは、
昼食
(
ちゅうじき
)
の時刻の直前で、貞之助も、悦子も知らず、お春も折柄使いに出ていた間のことであった。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
何かしら人間間のごたごたした
諍
(
いさか
)
いを止めさして、互に手に手を握り合わせるようなことを、自分の力でしてみたくなった。
電車停留場
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
二郎は邸を見廻って、強い奴が弱い奴を
虐
(
しえた
)
げたり、
諍
(
いさか
)
いをしたり、盗みをしたりするのを取り締まっているのである。
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
他人
(
ひと
)
が悩んでいたり、不幸であったりすると、すぐその
諍
(
いさか
)
いの中に飛びこんで行きたくなる
性癖
(
くせ
)
のセエラでした。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
▼ もっと見る
「父兄と、
諍
(
いさか
)
って家出したとは、真赤な譃、ちゃんと、
諜
(
しめ
)
し合せて、御家老の秘事でも、探ろうという所存——」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
尤
(
もっと
)
も、ときどき女の子同志で小さな
諍
(
いさか
)
いをし合っても、いつも私がお竜ちゃんの味方をするので、すぐそれはおしまいになった。それは初夏の日々だった。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
滅法可愛がつたさうで、あんまり可愛がり過ぎて、母親のお宮と
諍
(
いさか
)
ひが絶えなかつたと言ひます。あんな綺麗な繼娘は、娘のやうな氣がしなかつたんでせうね
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
満枝が
手管
(
てくだ
)
は、今その
外
(
おもて
)
に
顕
(
あらは
)
せるやうに
決
(
け
)
して内に
怺
(
こら
)
へかねたるにはあらず、かくしてその人と
諍
(
いさか
)
ふも、また
愜
(
かな
)
はざる恋の内に
聊
(
いささ
)
か楽む道なるを思へるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「それはお前の考えちがいですよ、あんないやらしい
諍
(
いさか
)
いはわたしだちは今日はじめてしたんですよ、それをお前が見たことがあるなんてことはありません。」
みずうみ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
毘舎離の女他国へ嫁して姑と
諍
(
いさか
)
い本国へ還るに、阿那律と同行せしを、夫追い及んで
詰
(
なじ
)
ると、〈婦いわく我この尊者とともに行く、兄弟相逐うごとし他の過悪なし〉と
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
この
諍
(
いさか
)
いは、ソフィヤ夫人が直接トルストイの出版者であったという事情から、益々紛糾した。
ジャンの物語
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
僕は姉が父とそんな深い
諍
(
いさか
)
いをしたということも知りませんでしたが、ある朝僕が起きて見たら、家の中がいつもと違っているんです。母も座敷にいなければ、父もいません。
棚田裁判長の怪死
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
私と父とは、忽ち
諍
(
いさか
)
ひ、忽ち和解し、誰よりも深く憎み、誰よりも深く
赦
(
ゆる
)
した。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
そのとき室の入口に、なにか騒がしい
諍
(
いさか
)
いが始まった。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
人びとの
諍
(
いさか
)
ふ目ざしを見しわれは。
生けるものと死せるものと
(旧字旧仮名)
/
アンナ・ド・ノアイユ
(著)
林の奧から、ふと、人の
諍
(
いさか
)
ひ合ふ聲がきこえて來た。おえふは惡いときに來合はせたとおもつた。
ふるさとびと
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
要するに、この姉妹たちは仲が好いので決して
諍
(
いさか
)
いにはならないのであるが、冷静に観察すれば、雪子と妙子の間には可なり険しい利害の対立が潜んでいるのであった。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その間に立って、子供の面倒をみながら、女といつも
諍
(
いさか
)
いばかりしながら、女と別れることも出来ないで、じっと我慢していた吉川さんの心を思うと、僕は堪らない気がするよ。
反抗
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
こんどに限って彼女は、単にクリストフを無視するようなふうをして、他の二人の連れを相手にいかにも上
機嫌
(
きげん
)
に振舞っていた。心ではその
諍
(
いさか
)
いを別に怒ってもいないかのようだった。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
電話を待つ緊張と、畳廊下での親たちの
諍
(
いさか
)
いの印象とが宏子に人と喋るのがいやな心持を起させているのであった。宴会があって、泰造は一時間ばかり前出かけた。それより前に田沢は帰った。
雑沓
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ただ
上
(
かみ
)
も
下
(
しも
)
も酒を飲んで、奴の小屋には
諍
(
いさか
)
いが起るだけである。常は諍いをすると、きびしく罰せられるのに、こういうときは奴頭が大目に見る。血を流しても知らぬ顔をしていることがある。
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そのことが原因で奥畑とちょっとした
諍
(
いさか
)
いをし、電話が懸っても
拗
(
す
)
ねて出なかったり、わざと会う機会を与えなかったりしたことがあったが、あまり奥畑の気の
揉
(
も
)
み方が真剣なので
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
けれども彼らはたがいに
倦
(
あ
)
き始めていた。小さな
諍
(
いさか
)
いは友情を維持するものだというのは、誤りである。クリストフは非道な態度をとるようにオットーから仕向けられるのを恨んでいた。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
諍
漢検1級
部首:⾔
15画
“諍”を含む語句
鬪諍
闘諍
諍論
諍闘
論諍
諫諍
口諍
内諍
諍議
闘諍言訟