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親鳥
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おやどり
そこには、
親鳥を
失った、かわいそうな
子ばとが
怖ろしさのためにふるえているのでした。それと
知った、
達吉は、もうなんで
我慢ができましょう。
根に
潛んで、
親鳥が、けたゝましく
呼ぶのに、
親の
心、
子知らずで、きよろりとしてゐる。
みんなをひきいている
親鳥は、むずかしい
顔つきをして、「
私たちはどんなに
心配していたかしれない。どこへいってきたのか、
委しく
話しなさい。」
また、
来年、
稲の
実るころになると、
太吉じいさんは、
新しいかがしを
造りました。
去年の
子鳥たちはもう
親鳥となって、
同じように、その
子供たちに
向かって
木の
枝に
巣ができあがりますと、
親鳥はひな
鳥をつれて、あるときは
青々とした
大空を
飛んで
海の
方へ、あるときは、また
山を
越えて
町のある
方へとゆきました。
ある
年の
春の、ちょうど
終わりのころでありました。どこからか、きれいな
小鳥が、
親鳥とひな
鳥といっしょに
飛んできて、この
年とったかしの
木に
巣を
造りました。
「お
母さん、いいところですね。」と、ひな
鳥は、
親鳥に
向かっていいました。
みんなは、なるほどと
思って、
親鳥のいうことを
聞いていました。
みんなも、
親鳥のいったことをほんとうに
思いました。