親思おやおも)” の例文
あのすずめの母親ははおやは、病気びょうきなんですよ。そしてあのすずめは、感心かんしん親思おやおもいで、きっとははべさせるをさがしにかけたのでしょう。
もずとすぎの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
せがれの釜次郎かまじろう武揚たけあきのこと)が、朝廷ちょうていのおこころにそむきまして、つみをおかしたことは、まことにおそれおおいことでございますが、釜次郎かまじろうはひじょうな親思おやおもいもので
小児こども着飾きかざらせて一人々々ひとり/\乳母を附けて芝居を見せようと云ふ豪奢がうしや性質たち、和上が何かに附けて奥方の町人気質かたぎを賎むのを親思おやおもひの奥方は、じつと辛抱して実家さとへ帰らうともせず
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
とみと云るが姉妹はらから共に心操こゝろばえやさしく何處となくひんよき生質うまれつきなれば如何なる貴人きにんの娘といふともはづかしからずかゝる在所には珍しき者にて殊に兩人ふたりとも親思おやおもひの孝行かうかう者なればいまちゝ十兵衞が年貢ねんぐの金に差詰さしつまり身を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おじいさんは、それらの文字もじににじむ、親思おやおもいのじょうをうれしく、ありがたくかんじ、手紙てがみをいただくようにして、また仏壇ぶつだんのひきだしへしまいました。
とうげの茶屋 (新字新仮名) / 小川未明(著)
この親思おやおもいものが、あんなにおおきなつみをおかしましたのは、あくまのしわざでございましょうか、いまさらなげきかなしんでも、もはや、とりかえしのつくことではございません。
毎日まいにち、おまえからおくってくれる新聞しんぶんを、ありがたくおもっています。」と、よろこんできました。親思おやおもいの良吉りょうきちには、母親ははおやよろこびが、なによりおおきい自分じぶんよろこびだったのです。
母の心 (新字新仮名) / 小川未明(著)