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胴間声
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どうまごえ
ふりがな文庫
“
胴間声
(
どうまごえ
)” の例文
旧字:
胴間聲
そうすると、もうどこかへ行ったのか知らんと思っていたその男が馬鹿みたいにノロノロした、変テコな
胴間声
(
どうまごえ
)
で口を利き出したの。
支那米の袋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
というのは、可愛らしい子供等の声に混って、深山木幸吉の
聞覚
(
ききおぼえ
)
のある
胴間声
(
どうまごえ
)
が、変な調子で当時の流行歌を歌っていたからである。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
鼻にぬけた
胴間声
(
どうまごえ
)
で、しゃべるわしゃべるわ、
而
(
しか
)
も山岳に対しては、Mönch の発音さえ
覚束
(
おぼつか
)
ないしろ者なんだからあきれかえる。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
「桜見よとて名をつけて、まず朝ざくら夕ざくら——、」例の勘弁勘次の
胴間声
(
どうまごえ
)
が、合点長屋の露地に沸いた。
釘抜藤吉捕物覚書:13 宙に浮く屍骸
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
手ぶり、腰ぶり、唄声、あざやかなもの、まったく南洋そのままの
胴間声
(
どうまごえ
)
、御婦人連は呆気にとられ、一同の眼は憎悪から、隠しがたい讃歎の色に変った。
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
▼ もっと見る
と軍隊で鍛えた
胴間声
(
どうまごえ
)
が
喧
(
けたたま
)
しく響き渡った刹那、曇り硝子の格子外でドサリという物音がして、ブルが唸った。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
阪東妻三郎が
扮
(
ふん
)
するところの織田信長を見て、その
胴間声
(
どうまごえ
)
に圧倒され、まさに信長とはかくの如きものかと、まさか、でも、それはあり得る事かも知れない。
鉄面皮
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「いやどうも」と彼はトニオ・クレエゲルに気がついた時、おぼつかないよろめくような
胴間声
(
どうまごえ
)
で言った。
トニオ・クレエゲル
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
向う側の参道並木——杉や
燈籠
(
とうろう
)
で
鬱蒼
(
うっそう
)
として、人影は見えないが、
胴間声
(
どうまごえ
)
で、こう
呶鳴
(
どな
)
っている者がある。
無宿人国記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それも単に病気の
所為
(
せい
)
なら
咎
(
とが
)
むる事もないが、彼は逆上しながらも充分本心を有しているに相違ない事は、何のためにこの法外の
胴間声
(
どうまごえ
)
を出したかを話せばすぐわかる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
……お経できたえた彼の
胴間声
(
どうまごえ
)
は、低声で西欧ふうな音程の曲を歌うのにはまったく適さなかったが、彼は肌身はなさずそのノートを持ちあるいて、表紙がボロボロになるまで読んで練習した。
軍国歌謡集
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
刑事が車掌に小声で
訊
(
き
)
いて居るのを後ろに聞いた。如何にも新米の刑事らしい感じがした。彼は悠々とデパートの方へ足を運んで行った。が其瞬間、
慌
(
あわただ
)
しい
胴間声
(
どうまごえ
)
が起って再び彼を振向かした。
乗合自動車
(新字新仮名)
/
川田功
(著)
「マーシャ、あったぞ、九四九九が!」と彼は
胴間声
(
どうまごえ
)
をあげた。
富籤
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
れ佐助どんがへたばったかて手曳きになりたがってる者がそこらに二人や三人いまんねと
胴間声
(
どうまごえ
)
で
絡
(
から
)
んで来るので苦笑いしながらまあまあ少しはようござります余り酔わさんようにしてやって下されと程よくあしらうとさあお許しが出たとばかりにあちらからもこちらからもさすそれでもきっと引き締めて七分通りは
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
シュトイリの
胴間声
(
どうまごえ
)
が、ずんど抜けに小屋の中に響きわたる、折りから御着きの見物は、あきれかえって感心している。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
調子はずれの
胴間声
(
どうまごえ
)
で、
臆
(
おく
)
することなく
呶鳴
(
どな
)
り散らしていたのだが、歌い終って、「なんだ、誰も歌ってやしないじゃないか。もう一ぺん。アイン、ツワイ、ドライ!」
乞食学生
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
と安部君は早速
胴間声
(
どうまごえ
)
を張り上げた。私も和して、田圃道を辿り始めた。間もなく後ろから
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
その楽器の来るのも待たないで、八字髭の手品使いは、酒樽のふちを叩きながら、
胴間声
(
どうまごえ
)
をはり上げて、三曲
万歳
(
まんざい
)
を歌い出した。
玉乗娘
(
たまのりむすめ
)
の二三が、ふざけた声で、それに
和
(
あわ
)
した。
踊る一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「泥棒!」と主人は
胴間声
(
どうまごえ
)
を張り上げて寝室から飛び出して来る。見ると片手にはランプを
提
(
さ
)
げ、片手にはステッキを持って、寝ぼけ
眼
(
まなこ
)
よりは身分相応の
炯々
(
けいけい
)
たる光を放っている。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
という師範代
各務房之丞
(
かがみふさのじょう
)
の
胴間声
(
どうまごえ
)
に、一同、ガヤガヤと肩を押し並べてすわったが、おもむろに正面の杉戸が開いて出て来た月輪軍之助を見ると、満堂思わず、アッ! と
愕
(
おどろ
)
きの声をあげた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
するとその頭の上から、和尚の
胴間声
(
どうまごえ
)
が雷のように響いて来た。
いなか、の、じけん
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
調子はずれと言おうか、何と言おうか、実に何とも
下手
(
へた
)
くそなのである。歌っているのは、子供でない。たしかに大人の、異様な
胴間声
(
どうまごえ
)
である。まことに驚くべき歌声であった。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
田舎芸妓のボロ三味線に、
野卑
(
やひ
)
な俗曲を、女の
甲声
(
かんごえ
)
と、男の
胴間声
(
どうまごえ
)
とが合唱して、そこへ
太鼓
(
たいこ
)
まで入っているのです。珍しく
大
(
おお
)
一座と見えて廊下を走る女中の足も忙しそうに響いて来ます。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「奥さん、宅のはあんな
胴間声
(
どうまごえ
)
で末の見込がございましょうか?」
好人物
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
圭さんの
胴間声
(
どうまごえ
)
は地面のなかを通って、だんだん近づいて来る。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
なかば水音に消されながら、石金さんの
胴間声
(
どうまごえ
)
がひびいた。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
という男の
胴間声
(
どうまごえ
)
が、急に耳元に近づいて来た。
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「ああ、また、また、五年は水の底、ふたたびお眼にかかれますかどうか。」神の
胴間声
(
どうまごえ
)
、「用意!」「こいしくば、たずねきてみよ、みずの底、ああ、せめて、もう一言、あの、——」
二十世紀旗手
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
しばらくしたら、めいめい
胴間声
(
どうまごえ
)
を出して何か
唄
(
うた
)
い始めた。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
酔っぱらっているような
胴間声
(
どうまごえ
)
が響きわたった。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
という、とほうもない
胴間声
(
どうまごえ
)
が……。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
T刑事は有名な
胴間声
(
どうまごえ
)
であった。
冗談に殺す
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
胴
常用漢字
中学
部首:⾁
10画
間
常用漢字
小2
部首:⾨
12画
声
常用漢字
小2
部首:⼠
7画
“胴間”で始まる語句
胴間
胴間聲