“甲声”の読み方と例文
旧字:甲聲
読み方割合
かんごえ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
小さな声でいっているつもりなのだろうが、沼間夫人の声は甲声かんごえだから、つつぬけに社交室までとどくのである。
キャラコさん:01 社交室 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
何処かにさびを含んだ、藝人らしい甲声かんごえを絞って、女の袂を掠めたり、立ち木に頭を打ちつけたり、無茶苦茶に彼方此方へ駈け廻るのですが、挙動の激しく迅速なのにも似ず
幇間 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
田舎芸妓のボロ三味線に、野卑やひな俗曲を、女の甲声かんごえと、男の胴間声どうまごえとが合唱して、そこへ太鼓たいこまで入っているのです。珍しくおお一座と見えて廊下を走る女中の足も忙しそうに響いて来ます。
湖畔亭事件 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)