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聞居
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きゝゐ
助り給ひしと
咄しければ隱居は今迄面白く
聞居たりしが彦兵衞が
咄を耳にも
入ず勝手へ
立て何やらん外の用事をして居るゆゑ彦兵衞も
本を
止煙草を
呑で色々咄を
恁くて
互に
其の
間に
考案する
隙ありき。さすがに
斯道の
達人とて、
積薪は
耳を
澄して、
密かに
其の
戰を
聞居たり。
時四更に
至りて、
姑の
曰く、お
前、おまけだね、
勝つたが
九目だけと。
又もとの
窟へはいりしゆゑ
我は
窟の口に
居て
雪車哥のこゑやすらんと
耳を
澄して
聞居たりしが、滝の音のみにて鳥の
音もきかず、その日もむなしく
暮て又穴に一夜をあかし、熊の
掌に
飢をしのぎ
詰て
聞居たり斯くとも知らず
元來お菊は
愚なれば小袖金子を見て
忽ち
心迷ひ何の
思慮もなく承知をぞなしたりける又長助は
篤と樣子を
聞濟し早々又七に右の
事故を
側に
聞居たる紙屑屋長八は文右衞門が身の
困窮を
察遣り成程一文二文の
袖乞を