老爺じい)” の例文
長「困るナア、出来なけれア出来ると云って請合わなけりゃアいに、困るナア、親方にそう云っておくれ、お老爺じいさんは何うした」
「おお、六助老爺じいさんか。べらぼうに寒いじゃねえか。今夜はよんどころなしに本所まで行って来たんだが、おめえも毎晩よく稼ぐね」
半七捕物帳:37 松茸 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
教会の老爺じいさんの子か知ら。今考えて見ると此の子は悪い処にいあわせたもんだ。乃公は此子このこすかして凧糸を其胸へ巻きつけた。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「蕨採りに来たのだが、はぐれてしまッたの、連れの者に。おイ、老爺じいや、探して来てくれないか、ちょッと往ッて」
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)
炭屋の老爺じいやの話だと、うッかり寝転んでいる所を殺されたのだと云う。大方昨日きのうも私の帰りを待ちかねて、此処らまで迎えに出ていたのであろう。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
あゝして四十年連れ添うた老爺じいさまと別れは別れたが、あゝ今頃は何うしているだろうかと思って時々呼び寄せては、私が状袋を張ったおあしで好きな酒の一口も飲まして
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
ある仏教信者のお老爺じいさんに、「あなたのおとしは?」と尋ねたところ、老人は「阿弥陀あみださまと同じ歳です」と答えたので、さらに「では、阿弥陀さまのお歳は?」と、問うたところ
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
講中の先達せんだつとかで、植木屋の老爺じいさんの弟の連合つれあいにあたる人だが、こう私の家に不幸の起るのは——第一引越して来た方角が悪かったこと、それから私の家内の信心に乏しいことなどを言って
芽生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
あとからいて行くのは乞食てい不快いや臭気においのする老爺じい
老爺じいさんまただまされなければいいが。」
旧聞日本橋:08 木魚の顔 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
とお老爺じいさんを寐かしましたが、お梶は貞女でございますから、亭主の帰らんうちは寐ません。そのうち段々が更けてまいりました。
源七にむかって、なんでもいから是非刺青ほりものをしてくれと頼んだのですが、老爺じいさんも素直にうんとは云わなかったそうです。
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
老爺じいさん、此間直した風呂桶が最早もう洩り始めたよ。お前酔っぱらっていてい加減な事をして行ったのだろう」
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
老婆は老爺じいの出て往くのを見送り、それから花筵はなござを引き出して来て
初恋 (新字新仮名) / 矢崎嵯峨の舎(著)
なに関宿まで参りやしたが野田の祭を見ようと思ってくと、此の老爺じいさんが此の子に意見しているのをわしが隣座敷で聞くと、此の子が
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
こんな老爺じいさんになって、なにも誕生祝いをすることも無いんですが、年来の習わしでほんの心ばかりのことを毎年やっているというわけです。
半七捕物帳:37 松茸 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
道で何処かの老爺じいさんが
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
百姓「玄堂げんどうさん/\、此間こねえだ頼んで置いた根本の荒物屋の老爺じいさまを連れて来たから、玄堂さん案内あんねえして上げておくんなせえ」
その足ですぐに駈け込んだのが源七老爺じいさんの家でした。老爺さんはその頃宇田川横町に住んでいて、近所の人ですからお互いに顔は知っていたのです。
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
六十に近い七兵衛老爺じじいが手につばきして奮然とつを見ては、若い者共も黙ってはられぬ。皆口々に、「老爺じいさんは危ねえ、私等わしらが行く。」と、さえぎとどめた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
種々さま/″\に意見を加えましたが、一方かた/\が頑固な老爺じいさんで肯きませんから、そんならば暇をやろうと万事行届ゆきとゞいた茂木佐平治さんだから多分の手当をてくれ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
由「ナアニちいさい子が仇を討つてえと、何だか傍に居る老爺じいさんが能く討つと云ったてえましたぜ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あくる日もその明くる日も毎日毎日根よく押掛けて来るので、源七老爺じいさんも仕舞には根負けをしてしまって、それほど執心ならば兎もかくも彫ってみましょうという事になりました。
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
老爺じいや。その女を追っぱらってしまえ。」と、市郎は声をあらくして云った。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
男「おい老爺じいさん」
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)