翩飜へんぽん)” の例文
新字:翩翻
舞臺一パイに動く權之助の身體の移動と共に、頭上高々と擧げたてのひらの上に舞ふ燕女の翩飜へんぽんたる姿は、まさにこれ地上のものではありません。
その小銭は一つとして地上に落るもの無く忽然と又翩飜へんぽんと空に向かって閃めき上り皆雲の中へ這入って了いました。
天草四郎の妖術 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
帝國軍艦旗ていこくぐんかんき翩飜へんぽんひるがへるをば、さら其時そのときは、軍艦ぐんかん」の萬歳ばんざいと、電光艇でんくわうてい萬歳ばんざいとを三呼さんこせられよ。
ただ、かの醤の陣営の目印のような高き望楼ぼうろうには、翩飜へんぽん大旆おおはたひるがえっていた。
そらは青々と澄みわたりて、地には菊花の芳香あり、此処都会の紅塵こうぢんを逃れたる角筈村つのはずむらの、山木剛造の別荘の門には国旗翩飜へんぽんたるもとに「永阪教会廿五年紀念園遊会」と、墨痕すみあと鮮かに大書せられぬ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
あの掌の上で翩飜へんぽんと踊つた美女が、毒婦でも淫婦いんぷでもなく、この上もなく優しい女だつたことが嬉しかつたのです。
けては、うららかなる甲板かんぱんに、帝國軍艦旗ていこくぐんかんき翩飜へんぽんたるをあほては、ならず智勇ちゆう兼備けんびりよう海軍大佐かいぐんたいさあたらしき軍艦ぐんかん」と、あたらしき電光艇でんくわうていとの甲板かんぱんにて、なみへだてゝあひくわい
中は百疊敷ほどの大廣間で、正面に羽二重と錦のとばりをかゝげ、かけ並べた燭臺に照らされて、二十四人の巫女みこが、聲を合せて歌ひ乍ら、翩飜へんぽんとして舞つて居るのです。
そのかたはらには、日出雄少年ひでをせうねんは、れい水兵すいへい姿すがたで、左手ひだり猛犬まうけん稻妻いなづま」の首輪くびわとらへ、右手ゆんで翩飜へんぽん海風かいふうひるがへる帝國軍艦旗ていこくぐんかんきいだいて、そのあいらしい、いさましいかほは、莞爾につこ此方こなたあほいでつたよ。