維盛これもり)” の例文
相隨ひし人々の、入道と共に還りし跡には、やかたうちと靜にて、小松殿の側にはんべるものは御子維盛これもり卿と足助二郎重景のみ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
維盛これもり忠度ただのりを大将とする平家の大軍は、頼朝が、政子のため大急ぎで建築した仮の館へ移った二日前の十三日に、駿河国の手越てごし宿しゅくに着いていた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一寸見廻しただけでも、長男重盛しげもりは、内大臣ないだいじん左大将さだいしょう、次男宗盛むねもりは、中納言ちゅうなごん右大将、三男知盛とももり三位さんみの中将、孫の維盛これもり四位しいの少将といった具合である。
尤も書くのはこつちの勝手、相手は維盛これもり樣だつて勝頼かつより樣だつて、惚れて惡いつて法はないけれど、それを相手に屆けるからうるさいことになるんでせう。
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
染之助がふんしている三浦之介とか勝頼とか、重次郎とか、維盛これもりとか、ああした今の世には生きていない、美しい凛々りりしい人達ではなかったかと、そう思うと
ある恋の話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
権太の悪棍となりしは隠し女にはまり、親には勘当せられ、賭事に掛りしためなれば、この道行はもっともなれど、善心に復りしを維盛これもりの大事を聞きたるためとしながら
弥助という名が「千本桜」の維盛これもりに縁があるので、彼は仲間内から鮓屋すしやという綽名あだなを付けられていた。
半七捕物帳:56 河豚太鼓 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
維盛これもりやいばにたおれよ。わしは清盛のむすめはらを呪うたぞ。その胎よりいずるものは水におぼれよ。平家にわざわいあれ。禍あれ。平家の運命に火を積むぞ。平家の氏に呪いをおくぞ。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
維盛これもりが鮨屋の養子になってかくれていたと云う浄瑠璃の根なし事が元になって、下市の町にその子孫と称する者が住んでいるのを、私は訪ねたことはないが、うわさには聞いていた。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
一族と別れて、南海に身を潜めた平維盛これもりが最期も、此渡海の道であったという。
山越しの阿弥陀像の画因 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
まもなく、首といっしょに一人生捕いけどりになった三位さんみの中将も帰って来るという噂がつたえられた。この噂に心を痛めたのは、小松三位中将維盛これもりの北の方である。
木下七郎兵衛が祖先は、平相国へいしょうこくの孫維盛これもりより出で、杉原伯耆守すぎはらほうきのかみが十代の末孫、血すじも正しい者にござります
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
螺鈿らでん細太刀ほそだちに紺地の水の紋の平緒ひらをを下げ、白綾しらあや水干すゐかん櫻萌黄さくらもえぎに山吹色の下襲したがさね、背には胡籙やなぐひきて老掛おいかけを懸け、露のまゝなる櫻かざして立たれたる四位の少將維盛これもり卿。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
維盛これもり様のような美男、お絹とは似合いの夫婦雛めおとびなを見るようで、主人の佐兵衛も妙に許したような眼で見、二人の間柄も、淡い友愛から、次第に濃い恋へと変って行くのが、店の人達の眼にも
これを後に維盛これもり夫婦を呼び出す相図に使ふ。
知盛とももり維盛これもり忠度ただのり敦盛あつもりなど一門の大家族が、各〻の別荘へ、みな避暑におもむいていたが、秋風と共に、遊び飽きない姫や公達輩きんだちばらも、ようやく、都へもどって来た頃だった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
小松三位さんみの中将維盛これもり、越前三位通盛みちもり但馬守経正たじまのかみつねまさ薩摩守忠度さつまのかみただのり、三河守知度とものり淡路守清房あわじのかみきよふさ、侍大将には、越中前司盛俊のぜんじもりとし上総大夫判官かずさのたいふのはんがん忠綱、飛騨大夫ひだのたいふ判官景高、高橋判官たかはしのはんがん長綱、河内判官秀国
維盛これもり樣のやうな美男、お絹とは似合ひの夫婦雛めをとびなを見るやうで、主人の佐兵衞も妙に許したやうな眼で見、二人の間柄も、淡い友愛から、次第に濃い戀へと變つて行くのが、店の人達の眼にも
資盛すけもり〕清盛の孫、小松重盛の次男。新三位中将。兄の維盛これもりは、屋島を脱出して、高野こうやをさすらい、熊野の海で投身した。歌よみの才媛、右京大夫うきょうのたいふつぼね(以前、建礼門院の侍女)の恋人。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
西行、文覚、池ノ尼、待賢門院、信西、為義、妓王妓女と仏御前——なお先々には小督の局、康頼の出家、滝口と横笛の出家、維盛これもりの出家、建礼門院の出家など、かず限りもない人々を見る。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
維盛これもり通盛みちもり忠度ただのり資盛すけもりなどの諸大将も、今はすべて洛中へ逃げもどって
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)