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絲竹
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いとたけ
お
高とよびて夫婦の
寵愛限りなく
讀書は
勿論絲竹の道より
茶湯活花等に至るまで師を
撰みて習はせしに
取分書を
萬一
事有るの曉には
絲竹に鍛へし
腕、
白金造の
打物は何程の用にか立つべき。
射向の袖を却て覆ひに
捨鞭のみ烈しく打ちて、笑ひを敵に殘すは
眼のあたり見るが如し。
姿形のうるはしきのみならで
心ざまのやさしさ
情の
深さ
絲竹の
道に
長けたる
上に
手は
瀧本の
流れを
お安に渡し是から道も
廣ければ先へ立てと入替り最お屋敷も
終其處だと二足三足
遣り
過す折柄聞ゆる
曲輪の
絲竹彼の芳兵衞の長吉殺し
野中の井戸にあらねども此處は名に
負ふ
反圃中三次は
裾を
送りけるが彼の十兵衞の娘お富お文は
揃ひも揃ひし
容貌にて殊に姉のお文は
小町西施も
恥らうばかりの
嬋妍もの
加之田舍育ちには
似氣もなく
絲竹の道は更なり
讀書も
拙からず
最愛しき性質成れば
傍輩女郎も
勞はりて何から何まで
深切を