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紋附
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もんつき
ふりがな文庫
“
紋附
(
もんつき
)” の例文
押しつまって何となく
慌
(
あわただ
)
しい気持のするある日、正月の
紋附
(
もんつき
)
などを取りに行くと言って、柳吉は
梅田
(
うめだ
)
新道
(
しんみち
)
の家へ出掛けて行った。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
「今晩はお前の婚礼なんだよ、さあ早く着物を
着更
(
きか
)
えなさい」と、いつの間にこしらえたのか
紋附
(
もんつき
)
や
丸帯
(
まるおび
)
などを出して来て、私に着せたのです。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
羊羹色
(
やうかんいろ
)
の
紋附
(
もんつき
)
さ、短いのを一本差したつきりで、
覆面頭巾
(
ふくめんづきん
)
は冠つて居たさうだが、顏はこれを見てくれと言はぬばかりに、さらして居たさうだよ。
銭形平次捕物控:181 頬の疵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この純然たる浪人生活が三十年ばかり続いたのに、源吾は刀剣、
紋附
(
もんつき
)
の衣類、
上下
(
かみしも
)
等を
葛籠
(
つづら
)
一つに収めて持っていた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
帰りに本屋へ立寄って礼法全書を
覗
(
のぞ
)
いて、結納の礼式、口上などを調べて、さて、当日は
袴
(
はかま
)
をはき、
紋附
(
もんつき
)
羽織
(
はおり
)
と白
足袋
(
たび
)
は風呂敷に包んで持って家を出た。
佳日
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
彼女が、心配したとおり、通りがかった例の上品な中年の婦人は、黒い
紋附
(
もんつき
)
を、左の肩から
裾
(
すそ
)
へかけて、見るも
無残
(
むざん
)
に、泥水を一ぱいひっかけられているではないか。
爆薬の花籠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
図書館の
扉口
(
とぐち
)
に近い、
目録
(
カタログ
)
の
函
(
はこ
)
の並んでいる所へ、
小倉
(
こくら
)
の袴に
黒木綿
(
くろもめん
)
の
紋附
(
もんつき
)
をひっかけた、背の低い角帽が一人、
無精
(
ぶしょう
)
らしく
懐手
(
ふところで
)
をしながら、ふらりと外からはいって来た。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
是ア惣次郎が居る時分に祝儀不祝儀に着た
紋附
(
もんつき
)
だ、汝も
是
(
こ
)
れから
己
(
おら
)
ア
家
(
うち
)
が無くなれば一人前の百姓に成るだから、祝儀不祝儀にゃアこういう物も
入
(
い
)
るから、此の紋附一つくればいと云う訳だよ
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
鶴見も絹の
袴
(
はかま
)
に
紋附
(
もんつき
)
を着て、叔母に連れられて後から出掛けて行った。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
紋附
(
もんつき
)
に
仙台平
(
せんだいひら
)
の
袴
(
はかま
)
、純白の羽織の紐が目立つ。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
三十五円もしたという赤い
襦珍
(
しゅちん
)
の丸帯や、それまでは見たこともないような
縮緬
(
ちりめん
)
の長袖や、被布や、
袴
(
はかま
)
や、
紋附
(
もんつき
)
や、
肩掛
(
かたかけ
)
や、
下駄
(
げた
)
や、リボンなどがそれであった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
羊羹色
(
やうかんいろ
)
のひどい
紋附
(
もんつき
)
で、紋所もはつきりはわかりませんでした。羽二重なんかぢやございません。
銭形平次捕物控:181 頬の疵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
驚いた事には、僕の知っている
英吉利人
(
イギリスじん
)
さえ、
紋附
(
もんつき
)
にセルの袴で、
扇
(
おうぎ
)
を前に控えている。Kの如き町家の子弟が
結城紬
(
ゆうきつむぎ
)
の
二枚襲
(
にまいがさね
)
か何かで、納まっていたのは云うまでもない。
野呂松人形
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
衣類を黒
紋附
(
もんつき
)
に限っていた
糸鬢奴
(
いとびんやっこ
)
の貞固は、
素
(
もと
)
より読書の人ではなかった。しかし書巻を
尊崇
(
そんそう
)
して、
提挈
(
ていけつ
)
をその
中
(
うち
)
に求めていたことを思えば、留守居中
稀有
(
けう
)
の人物であったのを知ることが出来る。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
今日はさすがに
権助
(
ごんすけ
)
も、
初
(
はつ
)
の御目見えだと思ったせいか、
紋附
(
もんつき
)
の羽織を着ていますが、見た所はただの百姓と少しも違った
容子
(
ようす
)
はありません。それが返って案外だったのでしょう。
仙人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「その
窮屈袋
(
きうくつぶくろ
)
と
紋附
(
もんつき
)
をかなぐり捨てるんだ」
銭形平次捕物控:100 ガラツ八祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
斉広
(
なりひろ
)
がいつものように、
殿中
(
でんちゅう
)
の一間で煙草をくゆらせていると、
西王母
(
せいおうぼ
)
を描いた
金襖
(
きんぶすま
)
が、静に
開
(
あ
)
いて、
黒手
(
くろで
)
の
黄八丈
(
きはちじょう
)
に、黒の
紋附
(
もんつき
)
の羽織を着た坊主が一人、
恭
(
うやうや
)
しく、彼の前へ這って出た。
煙管
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
紋
常用漢字
中学
部首:⽷
10画
附
常用漢字
中学
部首:⾩
8画
“紋附”で始まる語句
紋附羽織