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紅日
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こうじつ
樹々の
枝に
殘ンの
雪も、ちら/\と
指の
影して、
大なる
紅日に、
雪は
薄く
紫の
袂を
曳く。
何に
憧憬るゝ
人ぞ。
歌をよみて
其の
枝の
紅梅の
莟を
解かんとするにあらず。
「焔ハ
紅日ニ隨ツテ遠ク、煙ハ暮雲ヲ
逐ツテ飛ブ」
宿の廊下づたいに、湯に
行く橋がかりの
欄干ずれに、その
名樹の柿が、梢を暗く、
紅日に照っている。
再び
云ふ、
東向うに、
其八
雲、
日暮崎、
御室の
勝に
並んで
半島の
真中一
処、
雲より
辷つて
湖に
浸る
巌壁一千
丈、
頂の
松は
紅日を
染め、
夏霧を
籠めて
紫に、
半ば
山肌の
土赭く、
汀は
密樹緑林の
影濃かに