およそ)” の例文
船は十一分の重量おもみあれば、進行極めて遅緩ちかんにして、糸魚川いといがわに着きしは午後四時半、予定におくるることおよそ二時間なり。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
謂知いひしらずうるさしと腹立たれけれど、行懸ゆきがかりの是非無く、かつは難得えがたき奇景の地と聞及べば、少時しばしうさを忘るる事も有らんと、自ら努めて結束し、かの日よりおよそ一週間の後
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ところがおよそ五六丁も来ると、磯際いそぎわに大きな洞穴ほらあながあって、両人がそれへ這入はいると、うまい具合と申すか、折悪おりあしくと申すか、潮が上げて来て出る事がむずかしくなりました。
文芸の哲学的基礎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
といふことはで、Be と red との間が一リイグある。一リイグはおよそ三哩の長さである。
兎角とかくしておよそ時間じかんばかりは、くるはし沙魚ふかのためにかれて、いつしかうしほながれをもだつし、沙魚ふか領海りようかいからはすでに十四五海里かいりへだたつたとおもころ流石さすが猛惡まうあくなるうをつひ疲勞つかたをれて
市郎はなかば夢中であるから、およそのくらい降りて進んだか判らぬ。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)