トップ
>
竃
>
かまど
ふりがな文庫
“
竃
(
かまど
)” の例文
竃
(
かまど
)
、井戸、便所、土蔵、馬屋等に至るまで不道理の理屈をつけて、人家の幸不幸を考定するがごときは、決して信ずべき限りではない。
迷信解
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
炊事所の
竃
(
かまど
)
の上には、五六重の大きな円い蒸籠から、ふつふつと白い湯気を噴いて、昼食の支那麺包が蒸されてゐるのであつた。
満蒙遊記:附 満蒙の歌
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
今こゝへ来て
彳
(
たゝず
)
んでみると、矢張土間には
竃
(
かまど
)
の湯が
沸
(
たぎ
)
らしてあって、
生暖
(
なまあたゝ
)
かい空気の中に、あの忘れられない異臭が匂っているのである。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
小屋の庭の
隅
(
すみ
)
には
竃
(
かまど
)
が置いてあって、そこから煙が登り始めた。飯をたく音も聞えて来た。細君はザクザクと葱を切りながら
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「お寒いでしょう、雨にぬれて。——
竃
(
かまど
)
部屋で、お袖でも乾かし、粗末ですが、
芋粥
(
いもがゆ
)
なと召し上がって行ってください」
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
母親は四時には遅くも起きて
竃
(
かまど
)
の下を
焼
(
た
)
きつけた。清三は薬瓶と弁当とをかかえて、例の道をてくてくと歩いて通った。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
(李は頻りに笑いながら、
竃
(
かまど
)
のそばへ行き、棚から大きい茶碗を把ってバケツの水を掬って飲む。やがて飲み終りて何ごころなく見かえり
俄
(
にわか
)
におどろく。)
青蛙神
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
一人がバケツをさげて小川へ水くみに走れば、一人は土をつんで不恰好な
竃
(
かまど
)
をきずき上げる。
新宝島
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
少し
竃
(
かまど
)
の築き方を直せばいいじゃありませんか! 百円か、二百円で出来るごく安い仕事じゃありませんか、それをしないでいて、市民に迷惑をかけることは、大きな
謬
(
あやまり
)
です。
空中征服
(新字新仮名)
/
賀川豊彦
(著)
ホートンは少しの躊躇もせず
天幕
(
てんまく
)
の口の垂布をかかげて
内部
(
なか
)
へスルリと這入り込んだ。信心深かそうな老夫婦が、急拵らえの
竃
(
かまど
)
の前で夕飯の仕度をしていたが驚いたように振り返った。
喇嘛の行衛
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
窓外の光線に私たちのいるこの炉の間は押し黒ずまされ、漆色の暗さは指に触れたら
執拗
(
しつこ
)
く、にちゃ/\しそうです。土間の
竃
(
かまど
)
の鉄釜だけ、陽を反射して一つ二つ光る瞳をつけています。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
夢のように二里の路を走って、太陽がようやく地平線に現われた時分に戸村の家の門前まで来た。この家の
竃
(
かまど
)
のある所は庭から正面に見透して見える。
朝炊
(
あさだ
)
きに麦藁を
焚
(
た
)
いてパチパチ音がする。
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
向うの低い
竃
(
かまど
)
の上に掛けてある大きな
鍋
(
なべ
)
の中を
鳥料理
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
パツと明るい
竃
(
かまど
)
には薪がかつかと燃えてます
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
また、
竃
(
かまど
)
を塗り、井を掘り、
味噌
(
みそ
)
、酒を製し、新
蓆
(
むしろ
)
を敷くに至るまで、一定の吉日と凶日とがある。かくのごときの類、実に枚挙にいとまあらぬ。
迷信解
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
しかし、一陣の山風がくると、煙はさっときれいに
拭
(
ぬぐ
)
い去られてしまう。見れば、
竃
(
かまど
)
小屋で一人の童子が、竃の下へ枯杉など
焚
(
た
)
きつけているのだった。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自炊する浴客が多い。宿では部屋だけでも貸す。それに部屋付の
竃
(
かまど
)
が具えてある。浴客は
下駄穿
(
げたばき
)
のまま庭から
直
(
すぐ
)
に
楼梯
(
はしごだん
)
を上って、楼上の部屋へ通うことも出来る。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
予等に取つては一瞥してさへ
眼睛
(
がんせい
)
の
糜爛
(
びらん
)
を恐れしめ、
二目
(
ふため
)
とは覗かれない程に淒惨なものであるが、どの熔炉の口にも焦熱地獄の
竃
(
かまど
)
を焚く鬼の如き火夫が炭を投じ火を守つて
満蒙遊記:附 満蒙の歌
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
そこに収めてあった筈の武具やその他の
嵩張
(
かさば
)
った荷物が戦争のために
悉
(
ことごと
)
く取り出されてしまったらしく、土間の大部分ががらんどうになっていて、一方の隅に
急拵
(
きゅうごしら
)
えで拵えた
竃
(
かまど
)
が築いてある。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
狗
(
いぬ
)
の肝をとりて土にまぜて
竃
(
かまど
)
を塗るときは、いかなる不孝不順の女人にても至孝至順の人となるといい、五月五日に
鼈
(
すっぽん
)
の爪を衣類の
衿
(
えり
)
の中に置けば
迷信解
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
川口
(
せんこう
)
の旅人が、魏へ来て洩らした噂から、
竃
(
かまど
)
の数に孔明の智略があったこともやがて
司馬懿
(
しばい
)
の聞くところとなった。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「厂」の字の入口から一つの半穴居を覗くと、入口に土の
竃
(
かまど
)
がある事も、内部に相対して二つの寝床のある事も、その簡素な様子も、今見て来た華工の寄宿舎を極端に小さくしたに過ぎなかつた。
満蒙遊記:附 満蒙の歌
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
「オヤ。……一人が
竃
(
かまど
)
部屋から燃えさしの
薪
(
まき
)
を持って行ったぞ。何をなさるつもりだろう」
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その社内の本尊は三個の石にして、
竃
(
かまど
)
の形をとり、火の神を代表したものと申しておる。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
主力は、ここの陣を引くにあたり、兵一千をとどめて、二千の
竃
(
かまど
)
をほらせ、次の日退陣して宿る所には、また四千の
竈跡
(
かまどあと
)
を掘り残しておくがよい。かくて三日目の
屯
(
たむろ
)
には六、七千。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
竃
漢検準1級
部首:⽳
17画
“竃”を含む語句
土竃
竃河岸
塩竃
巌竃
破土竃
竃巌
竃猫