真顔まがほ)” の例文
旧字:眞顏
数寄屋河岸すきやがし真顔まがほが、「イヤこれ大方おほかた二十一にちであらう、「むかし」とハ、廿一にちと書くから、まア廿一にちつて見なさい。
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
支度がととのへば双方真顔まがほになつて身構へをしながらそろそろと近づいてゆく。廊下のまんなかで出会ふやいなや私が
銀の匙 (新字旧仮名) / 中勘助(著)
わらつた。が、ふと、あせばんだあかがほの、元気げんきらしい、わかいのが、くちびるをしめて……真顔まがほつて
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そして女教師の福富も矢張やつぱり、遣るだらうか、女だから遣らないだらうかという疑問を起した。或時二人きりゐた時、直接訊いて見た。福富は真顔まがほになつて、そんな事はした事はありませんと言つた。
葉書 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
詩仏しぶつ鵬斎ぼうさい詩文しぶんにてなぶりものにされたりといふことえたるが、もとより菊塢きくう世才せさいにはたけたれど学文がくもんはなし、詩仏しぶつ鵬斎ぼうさい蜀山しよくさん真顔まがほかげ春海はるみ当時そのころ聞人もんじん幇間半分たいこはんぶんなぶり者にせられしには相違さうゐなし
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
夏の照り葦辺行く子は魚籠びくもちて何か真顔まがほの我にかも似る
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
平中はちよいと真顔まがほになつた。
好色 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
毎月まいげつやらうとふ事に相成あひなり蜀山人しよくさんじんあるひ数寄屋河岸すきやがし真顔まがほでございますの、談洲楼焉馬だんしゆうろうえんばなどゝすぐれた狂歌師きやうかしつて、たゞ落語らくごこしらへたまゝひらいても面白おもしろくないから
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
小笠原氏をがさはらしが、真顔まがほで、胡麻髯ごまひげほゝせた。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)