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眞丸
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まんまる
『
此樣な
工夫をやるのだもの、
此武村新八だつてあんまり
馬鹿にはなりますまい。』と
眼を
眞丸にして
一同を
見廻したが、
忽ち
聲を
低くして
下に
萩、
桔梗、
芒、
葛、
女郎花を
隙間なく
描いた
上に、
眞丸な
月を
銀で
出して、
其横の
空いた
所へ、
野路や
空月の
中なる
女郎花、
其一と
題してある。
友は自己の耳を疑ふやうに
眼を
眞丸にして訊き返して居る。
其都度御米は
眞丸な
縁の
燒けた
銀の
月と、
絹地から
殆んど
區別出來ない
樣な
穗芒の
色を
眺めて、
斯んなものを
珍重する
人の
氣が
知れないと
云ふ
樣な
見えをした。