トップ
>
物馴
>
ものな
ふりがな文庫
“
物馴
(
ものな
)” の例文
お島のきびきびした調子と、
蓮葉
(
はすは
)
な取引とが、到るところで評判がよかった。
物馴
(
ものな
)
れてくるに従って、お島の顔は一層広くなって行った。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
兵法
(
ひょうほう
)
に曰く柔よく剛を制すと、深川夫人が
物馴
(
ものな
)
れたる
扱
(
あつかい
)
に、
妖艶
(
ようえん
)
なる
妖精
(
ばけもの
)
は
火焔
(
かえん
)
を収め、静々と導かれて、
階下
(
した
)
なる談話室兼事務所に
行
(
ゆ
)
けり。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
アイヌの郷土細工の糸巻から、弟の着物と似合ひの色糸を見付けて、針の
孔
(
めど
)
へ通した。それからいかにも
物馴
(
ものな
)
れた調子で
綻
(
ほころ
)
びを
繕
(
つくろ
)
ひにかゝつた。
過去世
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
「おい、あすこに椅子が二つ
空
(
あ
)
いている」と
物馴
(
ものな
)
れた中野君は階段を横へ切れる。並んでいる人は席を立って二人を通す。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あツと驚いて再び蓋をすると、
其中
(
そのなか
)
で
物馴
(
ものな
)
れた一人が「えてものだ、鉄砲を撃て。」と云ふ。一同
直
(
すぐ
)
に鉄砲を
把
(
と
)
つて、
何処
(
どこ
)
を
的
(
あて
)
とも
無
(
な
)
しに二三
発
(
ぱつ
)
。
雨夜の怪談
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
正直らしいつぶらな眼も、働き者らしい淺黒い顏も、そして
物馴
(
ものな
)
れないおど/\した調子も、妙に人をひき付けます。
銭形平次捕物控:165 桐の極印
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
物馴
(
ものな
)
れた戯れをしかけたものだと思い、下の品であろうが、自分を光源氏と見て
詠
(
よ
)
んだ歌をよこされたのに対して、何か言わねばならぬという気がした。
源氏物語:04 夕顔
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
まだ
物馴
(
ものな
)
れぬときのことで、弥一右衛門や嫡子権兵衛と懇意でないために、思いやりがなく、自分の手元に使って
馴染
(
なじ
)
みのある市太夫がために加増になるというところに目をつけて
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「ね、あの腰つきを見たでせう? ああしながらこの子はおしつこを
漏
(
も
)
らすんですよ」と保姆さんは言ひながら、
物馴
(
ものな
)
れた手つきでその子の前をはだけて、おむつを替へてやるのでした。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
物馴
(
ものな
)
れた旅人が狐の尻尾を腰さげにして、わざとちらちらと
合羽
(
かっぱ
)
の下から見せ、
駕籠屋
(
かごや
)
・
馬方
(
うまかた
)
・宿屋の亭主に、尊敬心を起こさせたという噂は興味をもって迎えられ、甚だしきはあべこべに
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
物馴
(
ものな
)
れた
水戸訛
(
みとなま
)
りの主婦が出て来て私を
階下
(
した
)
の奥まった座敷に通した。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
老紳士は深刻な顔つきで、アイスクリームの
匙
(
さじ
)
を口へ運んでいたが、たちまち、本来の
物馴
(
ものな
)
れた無造作な調子に返った。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
下等はないそうだ。中野君は無論上等である。高柳君を顧みながら、こっちだよと、さも
物馴
(
ものな
)
れたさまに云う。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
若い女房が一人車からおりて主人のために
簾
(
すだれ
)
を掲げていた。警固の物々しい騎士たちに比べてこの女房は
物馴
(
ものな
)
れた都風をしていた。年の行った女房がもう一人降りて来て
源氏物語:51 宿り木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
そこで一休みしてから、「
私
(
わし
)
はまア後で行くで、お前たちは
人力車
(
くるま
)
で
一足先
(
ひとあしさき
)
へ行っとれ。」と言って、よく東京を知っている父親は
物馴
(
ものな
)
れたような調子で、構外へ出て
人力車
(
くるま
)
を三台
誂
(
あつら
)
えた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そこへ
先刻
(
さっき
)
三沢と約束の整ったという女の
兄
(
あに
)
さんが来て、
物馴
(
ものな
)
れた口調で彼と話した。彼はこういう方面に関係のある男と見えて、当日案内を受けた誰彼をよく知っていた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
とうとう絶体絶命の暴れ方をしだした。小初は
物馴
(
ものな
)
れた水に
溺
(
おぼ
)
れかけた人間の
扱
(
あつか
)
い方で、相手に
纏
(
まと
)
いつかれぬよう
捌
(
さば
)
きながら、なお少しこの若い生ものの魅力の精をば吸い取った。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
菖蒲
(
しょうぶ
)
重ねの
袙
(
あこめ
)
、
薄藍
(
うすあい
)
色の上着を着たのが西の対の童女であった。上品に
物馴
(
ものな
)
れたのが四人来ていた。下仕えは
樗
(
おうち
)
の花の色のぼかしの
裳
(
も
)
に
撫子
(
なでしこ
)
色の服、若葉色の
唐衣
(
からぎぬ
)
などを装うていた。
源氏物語:25 蛍
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
物馴
(
ものな
)
れたふうで、すぐに
源氏物語:04 夕顔
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
馴
漢検準1級
部首:⾺
13画
“物馴”で始まる語句
物馴顔